柿の種中毒治療日記

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マチネの終わりに

平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読了。面白い。

子供の頃から活字中毒で、本ばかり読んでいた。でもここ最近、長編小説を読む気力体力が落ちてきた気がしていた。ネットの短文ばかり読み慣れてしまったからだろうか?

ところがどっこいこの小説を読み始めたら止まらない。忙しい毎日にもかかわらず、止まらない。面白い本に出会えると時間の余裕があまりなくても関係ないんだね。

大人の恋愛小説だけれども、それだけではない。音楽、ジャーナリズム、親子関係、職業倫理、差別、テロ、難民、親となること、離婚、裏切り、絶望、希望。そしてそれらを通じて垣間見える主人公二人それぞれの、軸となるプリンシプル。主人公二人がとても魅力的だ。そして、作者の人間を見る目が暖かい。

物語の最後は読者の想像に任されている。二人はきっと語り合い、わかりあい、でもお互い恋人としてではなく独立独歩で歩き続けるのではないだろうか。なんて想像はつきない。もう一度読んでみたい。

マチネの終わりに (文春文庫)

マチネの終わりに (文春文庫)

 

 

 

慈雨

柚月裕子さんの推理小説「慈雨」を読了。警察を定年退職した主人公が、妻と連れ立って四国のお遍路さんへ。

事件現場からは遠く離れた四国を歩き続けているので、主人公自ら犯人と対峙するわけではない。血湧き肉躍るシーンがあるわけでもない。ただ歩き、思い、そしてたまに後輩からの電話で事件にアドバイス。なんとも静かなのだけれども、その静けさの中にしみじみとした余韻がある。

主人公の葛藤、悔恨、そして勇気。とてもいい本だった。

慈雨 (集英社文庫)

慈雨 (集英社文庫)

 

 

 

インターネットが約256倍早くなった

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日本に帰ってきてから2年と2ヶ月。横浜に引っ越してきてから2年が経った。この2年間ずっとフラストレーションの種だったのが自宅のインターネット回線速度。フレッツ光ギガマンションなのに、下り1mbps以下のこともしばしば。ギガとメガってほぼ1000倍の差だよ。ベストエフォートサービスといってもこれはベストエフォートと言えないでしょう?

新しいページを読み込むたびにタイムラグ。ネットフリックスや動画の待ち時間も長く、強制的に画質が落ちることもしばしば。Kindleで漫画や雑誌のような割とデータが多いものはダウンロードに何分も待つことがざら。どうしても遅い時はケータイでローミング。10年以上前のフィリピン生活の時に戻ったようなインターネット生活。  

フレッツ光には連絡して、自宅までの光回線的には問題ないことはわかっていた。プロバイダに連絡したら僕のデータ使用量が多すぎるからだと言われた。新しいプロバイダを探すのも億劫で、プロバイダ変更には違約金もかかる。日々の忙しさにとりまぎれてそのままにして2年がたった。

そういえばもう解約金かからないんだっけと契約書を見てみたらまだあと一年。そこで改めて気づいた。解約金って5000円だったのか。その5000円を惜しんでまだあと一年このスピードでやってくわけ?

夏休みの時間を使って早速プロバイダを探して契約。神奈川県内では最速との触れ込みのプロバイダ。開通まで一週間期待半分。失うものなんてなんてないので不安はないけれどあまり期待しすぎずにおこう。ダメならまた次に行けばいい。

木曜日に開通した。直後から劇的な変化。読み込むのに永遠の時間がかかるかと思った画像サムネイルだらけのAmazonのサイトが一瞬で表示される。期待を込めてスピードテスト。え?90mps? Netflix待たない。ブラウジングさくさく。Kindleダウンロード爆速。自分の目が信じられず、何度もスピードテスト。180mbps..  260mbps...   フレッツ光はやっぱり悪くなかった。問題はプロバイダだった。

Time is money.  光陰矢の如し。速いは正義。今までなぜ行動を起こさなかったのか。その結果むしろあまたの時間をロード待ちの画面の前でぼーっとしてたのか。後悔するだけ時間の無駄。頭を切り替えて、行動と損切りは早くしよう。何かやってみて、ダメならまたやってみればいい。てなわけで筋トレしてきます。

 

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過ぎ去りし王国の城

宮部みゆきさんの過ぎ去りし王国の城を読了。リアルとファンタジーを行き来するお話。なんだけどいまいち盛り上がれなかった。

しばらく前に十二国記を読んでそのスケールがリファレンスになってるからかもしれないけれど、いつまでも序盤が続くなと思ったら、さっと物語の核心が明かされ、そしてするするすると解決へ。あれ?

中学生の主人公や重要な登場人物3人になかなか共感できなかったのは自分の感性の衰えであろうか。もっと違う時期に読んでいたらどんな感想だったかな?

 

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

過ぎ去りし王国の城 (角川文庫)

 

 

 

日本のいちばん長い日

台風がやってきたので家の中でゆっくり。1945年の8月14日から8月15日に一体何が起こっていたかを書き記した「日本でいちばん長い日」を読了。ポツダム宣言を受け入れ、終戦に向かうまでの様々な人々の思惑、信念、行動が緻密に描かれていてとても興味深い。

玉音放送の模様はビデオで見たことが何度かあるけれど、その背後にそれを覆そうとする軍部若手将校のクーデター計画があり、玉音放送の録音盤を奪取しようと皇居を占拠しようとする動きまであったのだね。全く知らなかった。

原爆を二発投下され、国民を憂う天皇のそばに君側の奸がいるとし、指揮系統を無視し、自らの属する師団の師団長を暗殺し天皇の奪取を図る。

そんな若手将校たちが信じた天皇制とは、国体護持とは一体なんだったのだろう。彼らはただ観念的かつファナティックだったのか、それともそれを主張するに足る実利的なメリットがあったのか。

そもそも、「主権が天皇にある」としつつ、天皇の御心をめいめい勝手に慮り、「天皇のそばに君側の奸がいるために、天皇の意思決定はまちがっている。従う必要はない」というロジックが成立するのなら、いったい本当のところ誰に主権があるのだろう?

自分の主義主張と天皇の意思のズレを「君側に奸のせいだ」とできるのならば、つまるところ天皇はだれかの思い通りになる傀儡にしかなりえないのではなかろうか。平安時代藤原氏しかり、鎌倉幕府の北条氏しかり、江戸時代の老中たちにしてもしかり、長期的には天皇や将軍という人たちが独裁者や直接の為政者たり得た期間よりも、その直下の人々こそが為政者ではなかったのか?

「主権を国民に渡さず一部の為政者が独占する」という意味において、いま香港で起こりつつあることとは本質的に何が違うのか?

歴史は繰り返すともいうし、賢者は歴史に学ぶともいう。もうちょっと歴史を学んでみたい。

日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

日本のいちばん長い日 決定版 (文春文庫)

 

 

 

Vision driven 直感と論理をつなぐ思考法

久しぶりのブログ更新。直感と論理をつなぐ思考法 Vision drivenを読了。

いまの会社に移ってきて、トップの言葉のなかにPDCAを早く回してという言葉がが何度も出てきたのが印象的だった。プランし、実行し、検証し、さらにアクションを起こす。このサイクルを回すことに異論はないし、それを早くやればやるほど軌道修正をしながら改善していけるというのも頷ける。カイゼンこそが競争力の源泉だったメーカーならではなのだろう。

でもその先に目指しているものが何なのか、会社として成し遂げたい未来はなんだろう?それを考え、発信できることこそがこれからのリーダーの条件ではないだろうか。じゃあどうすれば?という疑問に対して色々有用な思考法やツールが紹介されとても興味深く読めた。

 

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN