あっという間に8月。今年は帰省もしないのだけど、家の外もとても暑くてなかなか外に出る気にもなかなかならない。クーラーの効いた部屋で読書。
葉真中顕「絶叫」を読んだ。昔はてなダイヤリーで罪山罰太郎名義で書かれていたブログは読んでいたのだけど、小説家デビューされたことは知りつつこれまで手にする機会がなかった。
朝、娘の付き添いで病院に行った待ち時間に読み始め、その面白さに午後も家で夢中で読んで夕方には一気に読了。
Amazonの紹介曰く、
平凡な女、鈴木陽子が死んだ。誰にも知られずに何カ月も経って……。
猫に喰われた死体となって見つかった女は、どんな人生を辿ってきたのだろうか?
社会から棄てられた女が、凶悪な犯罪に手を染め堕ちていく生き地獄、魂の叫びを描く!
時系列にズレがある異なる三者の視点で語られる話が紡がれて、しだいしだいに輪郭が見えてくる。その中で語られる主人公鈴木陽子の人生。母親から愛されず、父親は失踪し、本人は平凡。平凡にもかかわらず人生を平凡に恙無く過ごすことは叶わず、どんどんと物事が悪い方へと向かっていく。その中で実は。。最後の大どんでん返しは暗澹たる気持ちになる一方で、ある意味痛快でさえある。
いまこうして日々をクーラーの効いた快適な部屋で過ごしているのはたくさんの偶然と少しばかりの幸運のおかげなのだろう。でもそれはいつまでも続く保証があるようなものではない。自分たちに、子供たちに、そして周りの人たちにも幸多からんことを。