柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

日帰り高野山旅行

朝6時39分の阪神電車に乗って梅田へ。今日は1日休みを取って高野山へ行くことにしたんだ。結婚前にバイクツーリングに行って以来だ。桜の季節にはちょっと早いけれど。
梅田から四つ橋線に乗り換えて、さらに難波で南海電鉄に。初めて乗る南海電鉄。難波から橋本までは1時間の旅路。窓から見える大阪、堺の街を眺めていたらいつのまにかうとうと、気づいたらもう橋本の駅だった。そこから2両編成の高野線に乗り換えて極楽橋を目指す。今日は平日だから電車の中もそんなに混んでないし、カタンカタンという電車の音が静かに響く。この電車は単線だから途中の駅ではすれ違いの待ち合わせ。のんびりした旅だ。その度に電車を降りて、外の景色と空気を楽しむ。どんどん空気がひんやりしていって、小鳥のさえずる音が聞こえてきた。

再び走ること40分ばかりで終点極楽橋へ。そこからケーブルカーで急な斜面を上り、バスに乗り換えて奥の院前まで。9時半過ぎに奥の院前に到着した。そこから奥の院御廟へとのんびり歩く。標高900mくらいあって気温5度ぐらい。下界とは比べ物にならない寒さだ。周囲は立派な杉が生い茂り、そのなかに苔むしたお墓がたくさん並んでいる。豊臣秀吉のお墓に織田信長のお墓、昔歴史の授業で習った武将達のたくさんのお墓がある。緑が濃い。不思議な気分。奥の院前の弥勒石を持ち上げてみた。前は持ち上げられたっけな。今回はなんとか持ち上げられてちょっと嬉しい。
奥の院では僧侶達が声明をあげていた。今日はたまたま弘法大師入定の日だったらしく、大音声が響き渡る。護摩壇に火が赤々と燃え上がっていて、その光の中30人はいようかというお坊さんがぐるぐる回りながらお経を読んでいる。お香のにおいと一緒になってちょっとしたヒーリング。帰りは今度は奥の院口までの道のり2kmをてくてく歩いた。こちらの道はほとんど人がいなくてさらに静か。自分たちの足音が響き渡るのを楽しんだ。

お昼ご飯に二人でうどんを食べて、朝早くに彼女が作ってくれた天むすと卵焼きをパクリ。あったかいうどんとお茶ですっかり体があったまったから、そこからさらにてくてく歩く。寺院の前で道を掃き清めている人を見てふたり感慨に包まれる。ここは時間の流れも下の世界とは別のようだ。僕たちが朝から晩まで競争だなんだとあくせくしている中、こういうふうな世界もあるんだなあ。苅萱堂で御朱印をいただき、和菓子屋さんではおはぎを食べて再びあったかいお茶を。なんだかすぐにおなかがすく。
それから金剛峰寺へ。金剛峰寺の立派なふすま絵に思わず見入る。それだけじゃなくって、かまどや水場など普段見る機会のないところが見れて面白い。やっぱり多くの僧が修行しているからだろうか、台所やかまどもとっても大きい。ここで修行している人たちもいるのかなあ。彼女がここで買ったのは『高野山の精進料理』という本。きっとそういう料理を百年千年と作り続けてきたんだろうな。

金剛峰寺を出た後は伽藍へ向かった。伽藍へ向かう途中の道は木々がほんのりとピンク色。桜のつぼみが色づいているんだろう。桜の季節はまた今日とは違って素敵なんだろう。きっと人が大勢で今日のような静けさは楽しめないんだろうけれど。伽藍では根本大塔に金堂、御影堂を見て回る。金堂の裏手には雪がまだかなり残っていて、高野山の冬の寒さを感じさせる。さっき買った本によると冬は零下10℃をしたまわることもあるんだって。修行僧とは大変なものだ。金堂ではちょうどお彼岸の行事が始まっているようで、外からも大音声が再び聞こえた。せっかくなので根本大塔の中を拝観。清めの香を手にすりつけて、中に入る。朱色の鮮やかな柱がとても奇麗だ。ついつい寺院というと茶色い桧皮葺をイメージしちゃうけれど、きっと千年前はこういう極彩色の寺院もあったんだろうな。不動堂や御影堂の屋根の曲線もとても優美で美しい。

最後に大門まで歩いて阿吽像の真似をして写真を撮って、バスを待つ。2時過ぎのバスに乗ってケーブルカーの駅へ。そこからは再び南海電鉄で難波まで向かった。かなり歩いたからか、二人とも難波までぐっすり寝てしまった。芦屋の駅を降りると空気はやっぱり春の暖かさ。思ったよりも遠かったし途中から頭痛がちになったのは難儀したけど、行ってよかった。

今回いただいた御朱印のうちの一つ。達筆だ。