柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

田舎

『行ってきます』と挨拶をしに山口からクルマで一時間ばかりのところに住む父方の祖母のところに行ってきた。隣の家まで数百メートルはあろうかという家に、猫と犬、それから牛さんといっしょにくらしているのだ。途中買ってきた寿司をみんなでつっつき、たくさんにぎってくれたおむすびを頬張った。
ここは時間の流れが都会よりもはるかにゆったりで、セミの鳴き声もどことなく都会のそれより穏やかで、バラエティーにもとんでいる。そんなセミの声を聞きながら、エアコンのない部屋で窓から入ってくる風のなか長い昼寝。甥っ子は小さいプールを作ってもらって水浴び。どこかでみたことのある景色。あぁそうだ。アルバムの中に収められた家族の写真だ。
あの頃ちびっこだった三人も、一人は子供もふたりできて立派なお父さん。一人は資格をとって鍼灸の道。そしてぼくはしばらくこの風景とはお別れだ。
ぼくらの結婚式で生まれて初めて飛行機に乗ったと喜んでいた祖母はフィリピン旅行が楽しみだと笑っている。じりじりと照り付ける太陽の中、さっと吹く風がたんぼを渡っていった。so long...