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柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul

軍隊のいる街

Life in Manila Japan from outside

ぼくの育った街には自衛隊の駐屯地があった。みんな駐屯地だなんて呼ばずに練兵場って古い名前で呼んでいた。ときどき演習をやっていたりして、その時にはドンパチいう音で空気とガラス窓が震えた。緑色の幌付きトラックの中に自衛隊員が一列になって座り、道行く光景も見慣れたものだったし、近所にも自衛隊員のおっさんたちが結構いて隊服を着て自転車通勤してたりしたんだよね。夏になればそこで花火大会があり、少年野球の大会で自衛隊のグラウンドに行った。自衛隊のある街。でもぼくのなかでそれはなんらかの暴力のイメージとつながる事はなく、ただそこにあるものだった。
それから東京で暮らし、神戸で暮らし、自衛隊とは縁遠い生活を送っていたのだ。そして今異国の地フィリピンにいる。フィリピンには軍隊がある。とはいえ普段の生活で目にする事はあんまりないのだけれども、この街には拳銃やショットガンらしき大型銃を持つ元軍人のガードたちがそこら中に居るから(駐車場入り口の警備員でさえ拳銃を持っている)もう銃を持つ人間は見慣れちゃったと思っていた。でも今日マニラ湾までドライブに出かけて、たくさんの軍人と装甲車を見たとたん、なんだか心の中がザラザラしてきた。怖さで体が硬くなってはやくその場を逃げ出したくなった。彼らからはなぜか街のガードたちからは感じない暴力のにおいを感じるのだ。警官とギャングの差が曖昧だといわれるこの国で、軍人というものに感じる必要もない恐怖を感じてるだけなのだろうか。
こちらに住んでいると軍のクーデターでさえ半分お祭りみたいなものだよ、とフィリピン人の同僚たちは言う。確かにそれはそうなのだろう。ここでの「クーデター」はちょっとしたアピールに過ぎないし、血が流れる事もほとんどないらしい。でもこんな装甲車がペニンシュラホテルを占拠したという光景はやはり単純に恐ろしいし、彼らはミンダナオ島あたりの紛争地域にいけば実際に活動している軍隊なのだ。ちょっとこちらの新聞のウェブサイトを見ると、しょっちゅう交戦し死傷者が出ている事なんてザラ。彼らもそういう現場を経験していたり、もしくはこれからそういう経験をしてゆくのだろうか。
別に何らかの政治的主張があるわけではない。ただこういう暴力性ってやっぱり軍隊の本質なのだなと思う。今まで自衛隊のニュースだとかを見ていても、そういう肌感覚というものを実は感じた事がなかったのだな、と。海外で暮らす今、日本のニュースというのは基本ネットでしか入ってこないのだけれども、そういうニュースになぜか現実味が感じられないのはそういう肌感覚をぼくが、そしてもしかしたらそれを発信したり議論したりしている人々ももっていないからなのかもしれない。