柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

ミニロック・ラグーン

エルニド二日目。目を覚まして水上コテージのベランダから外を見てみると、透明な水の中を魚たちが泳いでいるのがくっきり見える。なんと小型のエイまで泳いでいるのだ。石灰岩の岸壁が朝日で少し明るくなってきた。朝7時半から朝食、8時半からちょっとだけ仕事の電話をした。とはいえ携帯の電波が20分間で5回も切れる。効率悪すぎるのであっさり仕事のことは忘れることにして携帯のスイッチを切った。あとでガイドに聞いたところ、この地域で携帯の電波が入るようになったのは数ヶ月前のことだという。テレビもない、インターネットもない、携帯も入らない。日常を忘れて旅に来る都市生活者にとっては楽園のような場所だったのだろうけれど、携帯が入らない聖地という看板は下ろしたわけだね、良くも悪くも。

9時からバンカ・ボートに乗って今回最初のアクティビティ、シュノーケリングとカヤッキングをしにミニロック島にあるラグーンへ向かった。今日のガイドはMalonさん。近くのエルニド村の出身なんだって。ミニロック島までは一時間弱の船の旅。船からは島の基部が波に浸食されているせいで遠くからは海に浮かんでいるように見える島々を眺める。外海も今日は静かで波が穏やかだったのだけれども、ラグーンの中はさらに静か。深い紺碧の外海とは違って、ラグーンの中はヒスイのような色だ。ラグーンの中央部分の海底は砂地だから魚はあまりいないのだけれど、岸壁に沿って珊瑚礁があってそこには色とりどりの魚がいる。フィンとマスクをつけ、新しく買ったカメラを持っていざ出発。水の中には色とりどりの魚が泳いでいた。イソギンチャクの中にクマノミを見つけたり、フエフキヤッコを見つけたり。

ここはエルニド最大のシュノーケリングスポットだけあってたくさんの人が泳いでいる。それだけ人がいたら『サンゴには触らないで』というルールも守られにくいだろう。中には珊瑚に足を乗っけて休んでいる人もいる。美しい海にダイビングライセンスもないぼくが簡単に熱帯魚とサンゴを見にこれるというのは魅力的だけれども、そのアプローチの容易さからサンゴが傷んでしまうのは残念だ。珊瑚礁を守ろうと思ったら人間が立ち入れないようにするのが一番なんだよな。美しい珊瑚礁を見たいという欲望がその美しい珊瑚礁を壊すというのは悩み深い。

しばらく泳いでから、今度はカヤックに。初めてのカヤック体験。初めて乗るカヤックだったのだけれども、とても安定性がよくってすいすい楽しくラグーンの中を散策。狭いトンネル状になった岩場をくぐり抜けると四方を石灰岩の岸壁に囲まれた静かなラグーンだった。岩場には木々が生えていて、そこにセミが鳴いている。マニラにきてからセミの声を聞いていなかったな。なぜだかいなかの長門峡という渓谷を思い出す。この先どこで住むことになるのかわからないけれど、もしもまた神戸にかえることがあるのならカヤックを始めて四国や瀬戸内海をカヤックめぐりするのも楽しかろう。

さらにカヤックを終えてお隣のビッグ・ラグーンへ。ここははるか昔には大きな石灰岩の洞窟で、その天井部分が崩落してできたといわれているらしい。ゆっくりとバンカ・ボートで進みながら色とりどりの海の色を楽しむ。バンカ・ボートを操る『バンカ・ボーイズ』のまねをして船のサイドに渡してある木の上にのってみた。