柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

世界遺産サン・アグスチン教会

さて、こちらはパオアイにあるサン・アグスチン教会。世界遺産に登録されているフィリピンのバロック様式教会群のひとつだ。黒珊瑚やレンガ、モルタルで作られたというこの大聖堂のファサードは圧倒的。側に立つ鐘楼もかなりの規模である。地震の多いフィリピンなので側面もとても分厚いバットレスが並んでいる。1593年(日本では豊臣秀吉の統治時代)に建築されて以来400年の間に何度も地震に見舞われながらも修復を繰り返されながら無事残っているのだ。教会建築であるにもかかわらず、やはりなんだかアジアの匂いを感じるのはこの曲線のせいだろうか。
ただし、教会内部は非常に寂しい。屋根はすでに落ちてしまっており、いまでは木組みの柱と梁でトタン屋根がかかっていた。別に屋根の有る無しで人々の信仰が左右されるわけではないけれど、純粋に建築物に興味がある人間からすると少し寂しいね。マカオの聖ポール大聖堂跡もファサードのみが残っていたけれども、石組みの教会というのはファサードが一番頑強なのかな。
しかし地球の反対側までやって来てこれだけの建築をやってのけるとはスペイン恐るべしである。こういった巨大な建築物を完成するために、スペイン統治下のフィリピンでは一年40日の無償での奉仕が要求されていたというのだけれど、これは実際には強制労働だったのだ。本国スペインから遠く離れたフィリピンに来る修道僧たちの中には国を逃げ出して来た犯罪者すれすれでものや、民衆からの搾取と蓄財に励むものも数多くいたという。その一方で民衆の心には深く浸透しいまでも強く支持されている。フィリピンは今でも世界有数のカトリック国で、この日も教会の中ではミサをやっていた。信仰というのは不思議なものだ。

こちら側面のバッドレス。渦巻き紋様なんかが刻んであって何となくアジアン。

教会に入るとこんな具合。外とのギャップがスゴい。石組みの屋根なんてとてもじゃないけれど今じゃあ作れなさそうだ。

バットレスの側の芝生ではヤギが草を食んでいた。フィリピンの田舎では野良なのかどうなのか分からないけれど、紐にもつながれていないヤギが自由気侭に歩いている。教会の側のマリア像にも、人が訪れるでもなくヤギが体をのばしてムシャムシャ葉っぱを食べていた。