柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

架け橋

異文化を理解するためにはやはり異文化に入る事が一番だね。今、フィリピンから日本にプロジェクトチームが行っているのだけれども、それに対して日本人のマネージャから『あいつら全く分かっていない』という声があがっていると聞いた。『分かっていないからいてもいなくても同じだ』と。こういうことぼくも以前に思っていなかったかと言えばまあ思ってたところもある。でも、こちらにきて働くようになってからこういう考え方は全くもって無意味だなと思うようになった。同じ会社で働くフィリピン人たちはほとんどの場合すごく優秀だ。自分の仕事に対してはみんなとても詳しく、そしてみんなよく働く。もちろん例外もあるけれど、それは日本だってどこだって同じだろう。
じゃあなにが壁なのかというとやっぱりビジネス慣行だったり文化だったり、ビジネスの文脈だったり、そういう肌で感じて学ぶ種類のもの。そういうのはマーケットにいない事にはなかなか身に付かないから、『あいつら全く分かっていない』という事になる。ただこれがないことは能力の問題ではない。だからそれを『安いけれど能力が低い』なんてレッテルを貼るのは大きな損失だ。


うーーーん。。前に別件でちょっと話をしましたが、そこはXさんに『強い信頼関係と良いカルチャー』を作る日本側の旗振り役となっていただきたいんですよね。。

われわれがマーケットから離れた場所にバックオフィス機能を集約するという戦略をとっている以上、マーケット特有の知識の欠如や『あ・うん』の呼吸でビジネスを進められないのは当然の帰結です。こちらの社員も(一部を除いて)本当に優秀です。彼らにマーケット特有の知識がないのは彼らの能力が劣っているからではありません。会社の仕組みとして存在せざるをえない弱みをどういう風にカバーし、どれだけ効果的に彼らの強みを生かせるのかというのがわれわれに課せられた仕事だと思うんです。

僕も日本にいたときはたまに思っていたのですが、『あっちのやつらはわかっていない』だとか『いても無意味だ』という認識を持ってる人は少なからずいますよね。もちろんこちらのほうでよりカスタマーのニーズを理解する能力を強めていくことは必要です。しかし同時に、マーケット側がそういう認識でバックオフィスを輪からはずし、二重もしくは裏のプロセスを作るというのは、会社を強くしていく動きを阻害していますし、一歩間違えれば統制が取れなくなって大変リスキーです。真意が伝わっていないのならば、どこにそのギャップがあるのかを認識し、それをわからせるための前向きの努力こそが会社を強くし長期的に結果を出す原動力になると思うんですがどうでしょう?そんなの理想論にすぎない、と思われるかもしれませんが、せっかく働くのなら理想は高く持って火消しではなく長期的な組織力の構築に力を注ぎたいなと個人的には思ってます。

実際、いざやるべきことが明確に伝わればこちらの人たちの働きっぷりはすごいです。朝早くから夜中遅くまでものすごく一生懸命働く人達が多いですし、結果に対するコミットメントも大変高い人が多いのにはぼくも驚きました。これを『あいつらはわかってないから』とレッテルを貼って輪からはずすのは大きな損失ですし、なにより生産的な関係を築き上げるのを阻害してしまうと思います。文化の差や言葉の壁を乗り越える努力というのは人種や文化を超えた個々人に対するRespectの発露だと思います。もちろん信頼というのは一方通行のものではなくあくまで相互関係なのでこちらサイドでがんばらなきゃいけないことももっとありますけどね。