柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul

台風が去って

ひどい台風に見舞われた週末が開けた。オフィスはいつもよりも閑散としている。土曜日以来連絡網を回し、今日チームのうち最後の一人とようやく連絡が取れた。チーム全員の安全は確認されて一安心ではあるけれど、3割程度の人は床上浸水などの被害にあったのだ。多くの人たちは家の掃除や復旧作業のため会社を休んでいる。いまだ水が引かない地域も一部あるようで、そこに住んでいる人たちはオフィスにでてくることはできない模様。
ぼくたちが住んでいる地域は高台なので深刻さがいまいち伝わってこなかったのだけれども、みんなの話を聞いていると今回の洪水は本当に大変だったようだ。マカティ中心街の地下道は完全に水没したとのこと。水が10フィートも来たという家もある。10フィートというと3mを超す水量だ。そういう家では2階や3階にまで避難する必要が会ったようだ。そんな中でもできるだけ家財を上の階をあげようと奮闘し、テレビはなんとか守ったとかパソコンはなんとか守ったものの失った家財も多いという話も聞こえてくる。車が洪水で流されてしまったり、家財道具を失ったり、かなりの被害がある。
我が家のドライバーとメイドさんには被害もなく無事だったのだけれども、悪い事に部下の家で働くメイドさんの家族はこの台風で亡くなってしまった。その事自体とても悲しい事だ。さらに悲しいかな、こういう時にもものを言うのは現金。遺体を埋葬しにいったものの手持ちの現金がなく、ATMも故障して現金も降ろせない。身につけた貴重品を手放してなんとか埋葬してもらおうとするも、要求される金額に足りず、結局家族が穴を掘って埋葬したのだという。そんな人たちが何人も墓地で行列をなしていたとのこと。今の時点で死者が140人を超えたというニュースもある。これは本当に一大災害だ。
アロヨ大統領は今回の洪水の理由として一ヶ月分の降水量がわずか半日の間に降るという記録的豪雨が原因であると説明している。それも確かに一つの原因ではあろうけれども、そもそもインフラストラクチャーへの投資が少な過ぎるのじゃあないだろうか。今のフィリピンは雨季だけれども、普段だってちょっと雨が降ったくらいでくるぶしくらいまで道路に水があふれることなんて日常茶飯事だ。致命的なまでに下水が弱いところに豪雨がふり、ダム決壊を避けるためにダムの放水まで重なったようでそれでは洪水になるのも当然の帰結だ。『歴史的な』なんて言葉が踊るけれども、これに近い豪雨は過去にもあったそうな。ところがこれに対する下水強化対策が行われているなどという話はとんと聞かない。それどころか公共事業への税金を懐に入れて潤う政治家や実業家たち。例えばしょぼいコンクリ製の屋根付きのバス停一つ作るのに予算が600万円なんて、まったくもっておかしい話だけれども、そうやって付けられた高い公共予算の半分以上は彼らの懐へ消えて行くのだという。そうして私腹を肥やした人たちは高級住宅地で安全に過ごし、多くの国民は弱いインフラの被害を受ける。なんという悲しい現実だろう。
なにはともあれ政府への非難ばかりでは救助は進まない。多くの企業やNGOでも救援活動を開始している(How to help ‘Ondoy’ victims - INQUIRER.net, Philippine News for Filipinos)。うちの会社でも赤十字への寄付を既に行い、さらに明日からも現金や食料・衣類を中心とする救助物資のdonationがはじまる。まずは募金をするとして、そこでのお金が本当に必要としているところにわたるように切に願う。今週また新たな台風が発生するという見込みもあるようだ。災害に災害が重なる事がないよう祈りたい。