柿の種中毒治療日記

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Simplification

四半期財務諸表のレビューを某国のトップマネジメントの一人Tさんと行った。前の四半期のレビューをスキップして今回二回分だったので3時間半の長丁場。しっかり部下たちに準備をしてもらい、そのレビューも念入りにやっておいたので非常に満足いく出来だった。一年前のレビューは一四半期分で3時間を費やしたことを考えると大きな進歩。Tさんからも『今までもすごく質が高かったけれども常に前回を上回る質で満足している』というコメントももらった。これはうれしい。
同時に『Simplificationする余地はないのか』とも。『質が高くなっている分事前の準備に時間を使い過ぎているのではないか』ということだ。実際は以前と比べて時間を多く割いているわけではないし、むしろ個人個人の能力が上がっているということが大きいと思うけれども、確かに時間のかかる仕事ではあるのでこれは渡りに船でもある。『レビューの場で全ての質問に答えられることは必要ない。質問事項は追ってフォローアップしてくれれば良い』とのこと。これは助かる。
レビューの場で質問に答えられなかったら即無能の烙印を押すというタイプの人もいて、そういう人たちとのレビューに際しては詳細にわたって準備をせざるを得ない。それは周りがただそういう恐怖感と幻想を抱いてるだけなのかもしれないけれど、どちらにせよ結果として社内のレビューに多大な時間を使うということになりがちだ。まあ実際問題として、信頼関係を築くほど密に働く機会がないトップマネジメントとのごくたまに行われるレビューの場合『そこで失敗したら挽回の機会などない・そこで仕事ができるところを見せて覚えを良くしたい』というプレッシャーもあろう。その点Tさんとは長く上司部下として働いてきた分、信頼関係が既にある。だからこういうふうなアプローチをとっても許されるというのもあるだろうし、一概にこれがすべてのマネジメントレビューに期待できるかと言えばまったくそんな事はなかろうが。
なにはともあれ、こういう風にトップからSimplifyという掛け声だけでなく、そのための譲歩や助けをもらえるというのは非常に助かる。Simplificationというのは取捨選択することによって達成されるという好例。自分の組織でどこに無駄な力を注ぎ過ぎているのか改めて見直したい。同時に部下の仕事の質に対してはきちんと目を光らせなければいけないなとも思う。Tさんのコメントを聞いたときの喜びっぷりと、最近の規律軽視の風潮を考えると、一気に質を落としてしまうことにもなりかねない。どう自律的に個々を生かしながら適切な規律を組織内におくか。管理職としての課題だ。