柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul

月餅と税金にまつわるおはなし


中秋を前にして、同僚から月餅をもらった。人からもらったものの全く使うことのなかったゴルフクラブのセットを先日あげたのだけれども、そのお礼にとのこと。月餅はなかなか高級で、4つ入り月餅が200元以上することもざらである。まさにワラシベ長者への第一歩。
閑話休題。月餅というと、最近中国で話題になっているのは月餅税である。月餅税とは文字通り月餅にかかる税金。中国では中秋に月餅を贈り合うのが習慣となっていて、多くの会社でも社員に対する福利厚生の一環として月餅を配ったりするのだ。ではなぜ月餅税などという言葉が出てくるのかというと、月餅は現物支給であり*1、従業員にとっての所得だとみなすのだ。所得を得るからには所得税を払えという理屈らしい。
この「みなし税」というのが中国でビジネスをする上ではなかなか厄介だ。たとえば食品メーカーやFMCGメーカーではサンプルを配ったり、店頭でおまけを配ったりすることがある。当然それらは消費者から対価を取らないから売上げもたてず、経費として処理しているのだけれども、税法の観点からはみなし売上げを認識し、それに対して様々なみなし税を支払わなければ行けない。
その一つはみなし消費税。これは無償提供したサンプルに対し、同じ価値の売り上げがたったとみなしてそのみなし売り上げに対して17%の消費税をかけるもの。通常消費税は消費者が負担するものだけれども、無償提供しているものだから消費者からは一銭もお金を受け取っていない。ではどこが払うのかというと、メーカーである。また、みなし法人税も支払う必要がある。配ったサンプル品が売上げを上げた場合に儲けるはずだったみなし所得に対して法人税(約25%)が課税されるのだ。例えば通常100円で売っている原価20円のジュースをサンプルとして配った場合の総コストは

  • 原価20円
  • みなし消費税 100円*17%=17円
  • みなし法人税 (100円-20円)*25%=20円

以上計57円となる。売上げもないのに原価を遥かに超える税金を払わなければいけない。なんか超理不尽だ。
ただこれらの吃驚するような税の話は税務当局が貪欲だからというだけの理由ではないらしい。現金の授受は記録に残ったり補足されやすいのだけれども、現物ならば足がつきにくい。だから現物での袖の下やバーター取引がかなり多いのだという。ニュースを読んでいても、つい4−5年前までは『家付き月餅』なんていう信じられない商品まであったそうな*2。もちろんこれは月餅にかこつけた巨額の袖の下である。こういう賄賂をなんとか取り締まるために現物支給にも目を光らせ、巨額の税金をかける。これが中国のリアリティだといえばそれまでなのだけれども、賄賂との意図もなくふつうに消費者にリーチする手段としてサンプリングしたいメーカーとしては頭の痛い話である。

*1:お金ではなく、現物の形を取った給与ということ

*2:月餅そのものより遥かに高いおまけはすでに規制されている