柿の種中毒治療日記

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中国生活に必須?PM2.5とAQI(Air Quality Index)について解読してみた

DISCLAIMER 下記の文章は専門家の知見ではありません


日本で今話題のpm2.5。髪の毛の直径より遥かに小さい直径2.5μm以下の微粒子で、肺の奥深く、さらに血液中にも入り込んで人体に悪影響を与えると考えられている。中国でももちろん話題で、うちの運転手さんでさえこの単語を知っている。
中国では2011年以降政府が観測データを公表し始めたこともあり、今では様々なウェブサイトで大気汚染度をほぼリアルタイムで知ることが出来る。例えば以下のサイトでは中国各地のAQIを汚染物質別に知ることが出来る。さらに過去5日間のトレンドも知ることが出来て役立つ。
http://www.aqicn.info/city/guangzhou/

さて、このデータをどう読むのか。ぼくは当初pm2.5の数値として出てくる100を超える数字をみてビビりまくっていた。なんせ、PM2.5の日本・米国の環境基準では35μg/m3。注釈と関連リンクの文献を読み、ようやくどういう意味かが分かったのでここに記録しておく。結論から言うと、AQIの数字はPM2.5の濃度ではない。PM2.5の濃度が日本基準の35μg/m3のとき、AQIはおよそ100である。つまり、AQI100が判断の一つの目安となる。(なお、ここでのAQIはアメリカ基準。上記サイトはアメリカ基準でのAQIを発表している。中国の基準だとAQI100=PM2.5 75μg/m3なので注意が必要だ)

PM2.5の濃度とAQI指数は別物

こちらのサイトのデータを見てみると、PM2.5の脇にAQIと書いてある。さらにカーソルをその周辺にやると注釈が出てくる。

Guangzhou pm2.5 measured by U.S. Consulate Guangzhou Air Quality Monitor. Values are converted from μg/m3 to AQI levels using EPA standard

つまり、ここででている数字は大気中のpm2.5の濃度をAQIという指数に換算したものだということ。

AQI Calculator

EPAとはなにかというとアメリカのEnvironmental Protection Agencyという政府機関のようだ。というわけで、US EPA (Environmental Protection Agency)のウェブサイトをチェックしてみたところ、各種汚染物質の濃度とAQIを換算する計算機を見つけた。以下のリンクから飛んだサイトで、pm2.5の濃度を入力することでそれに対応するAQI指数を弾き出してくれる。
http://www.airnow.gov/index.cfm?action=resources.conc_aqi_calc

*1

PM2.5とAQIの変換

ちょっと調べただけではPM2.5とAQIの変換テーブル・変換公式のようなものが見当たらなかった。そこで上記サイトでpm2.5の数字を変えて入力してリバースエンジニアリングしてみた。

(クリックで大きくなります)


で、こちらがその結果をプロットしてみたもの。

面白いことに、pm2.5とAQIの関係は線形ではない。pm2.5が80μg/m3に達するあたりまでは緩やかに傾きが減少して行く。80μg/m3から150μg/m3あたりまでは10μg/m3のpm2.5の増加に対して、AQIは5-6ずつ増えていく。pm2.5が150μgをこえると10μg/m3のpm2.5の増加に対して、AQIは10ずつ増えていく。このへんどういう理屈なのかは分からないけれど。
何はともあれ大事なのは変換テーブルの数字。日本の環境基準35μg/m3に対応するAQIは99。これまではpm2.5のAQI100という数字を見て『日本の環境基準の3倍だ』などと思っていたのだけれども、それは実は勘違いであった。AQI100は日本の環境基準の上限と一致している訳だ。今後AQIのウェブサイトを見てAQIが100を超えているかどうかが一つの基準となるね。

なお、本日の広州のpm2.5のAQI指数は229。これを上のテーブルでpm2.5濃度に逆換算するとだいたい180μg/m3である。これは日本の環境基準の5倍に相当する濃度。また、北京のAQI指数は391でHazardousとのこと。pm2.5に逆算すると341μg/m3で、日本の基準のほぼ10倍の微粒子が飛んでいるってこと。今日の汚染度合いはひどいってことだな。

[追記]日本やその他アジア各地のAQIも見れる

なお一番最初のaqicn.infoのサイトで下段のバーにあるMapをクリックするとアジア全域のAQIデータを見ることが出来る。日本のデータも収集しているようで、左のGoogleマップのスライドを動かすことで拡大可能。意外にも(?)関西のAQIも思った程よくない。日本に住む人に取ってはもちろん悪いニュースだけれどもね。とはいえ全体的には日本は緑色の"Good"コンディションが多いんだな。紫の"Very unhealthy"や、茶の"Hazardous"が並ぶ中国とは大違いだ。またシンガポールも真緑。羨ましい。


[追記2]

PM2.5健康被害についても少し調べました。PM2.5の濃度と死亡率には明確な関係がある由。

[追記3]

WHOによりPM2.5発癌性があることが公表されました。訳していないので、英文です。
WHO agency: Air pollution causes cancer - 柿の種中毒治療日記

*1:なお、AQIから各種汚染物質の濃度を計算する計算機へのリンクもこのページの下の方にある