柿の種中毒治療日記

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失敗の本質

先の大戦における日本軍の失敗を組織論の観点から研究した『失敗の本質ー日本軍の組織論的研究』。何度読み返しても面白いし、新たな学びがある本。後付けだといわれようがなんだろうが、やはりあの戦争は勝つ見込みの無い戦争だったのだということが良くわかる。また、主題は日本軍であり数々の作戦であるものの、そこから導きだされてくるものは現代の組織運営と企業戦略にも重なることが多々ある。

以前「超」入門と題する読解本を買ってみたのだけれども、この超入門のほうはイマイチであった。本書の方が作戦の背景や細かなやりとりを取り上げている分、リアルな実例を通じた深い学びがある*1。言葉遣いは専門書だから多少固いところもあるけれど、その分曖昧さができるだけ排除されていて分かりやすい。名著といわれる本にはそれだけの労力を注力されているし、そのぶん全てのところが磨き抜かれている。それを簡単にエッセンスだけ学ぼうなんて虫のいい話なのかもしれない。

また、現代の自分たちに共通するジレンマも、組織で働いていたらいくつも思い浮かぶはずだ。下手にガイドを読むよりも、自分の頭で類似点・相違点を見出し、どうすればいいのか解決策を練る方がはるかに有用だろう。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)


「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

*1:これは畑村洋太郎先生の失敗学の基本コンセプトでもある