柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul

アンコールの思い出






これまでに訪れた場所でどこが一番印象に残っているだろうか。個人的には2009年に訪れたカンボジアシェムリアップアンコール・ワットやバイヨン遺跡はもちろんだけれども、森の中に眠るベンメリア遺跡は本当に良かった。

ベンメリアの何が良かったのかというと、人の少なさ。広大な敷地内にいたのはせいぜい数人の観光客で、静寂を楽しむ事ができたのだ。アンコール・ワットは当時すでに多くの観光客で賑わっていたけれども、アンコール・ワットに人が訪れなかった時代もあるのだろうな。

なんでこんなことをふと思い出したのかというと、クラウドファンディングサービスのKickstarterを見ていたら、Elegy: Reflections on Anchorというプロジェクトを見つけたから。訳すと『哀歌: アンコールの影』って感じかな。*1Elegy: Reflections on Angkor by John McDermott — Kickstarter


このプロジェクトは写真家のJohn McDermottさんによるもの。彼がアンコールを訪れたのは1995年の事。皆既日食を撮りに行ったのだという。そこから彼は数年をかけて、アンコールの古い遺跡やカンボジアの文化を写真に収めて行く。1995年というと、クメール・ルージュが非合法化された一年後の事。ポルポトもまだ生きていた。きっとまだそこを訪れる観光客などいなかったのだろう。彼はKickstarterのビデオの中で、2000年までのあいだ地元民や僧侶を見る事はあっても外国人はほとんどいなかったと語っている。

そんなアンコールは今や世界中の観光客を集める場所となった。2011年の時点でアンコール・ワットを訪れた観光客は年間160万人に達したという。当然観光客が増えれば遺跡へのダメージもすすむし、静寂とはほど遠い雰囲気だろう。ぼくが撮った写真も、アンコール・ワットでのものはほとんどどこかしら人が映り込んでいる(ぼくだって、その大量の観光客の一人であった訳だけど)。このJohn McDermottさんが撮った写真は、観光化が進む前の貴重な写真だ。サイトで写真を見ているだけで、想像力が刺激される。今はもうない場所への追憶*2

さて、Kickstarterでは10ドルの電子版から1万ドル(100万円!)のコースまで。1万ドルコースは7日間、Johnさんと写真を撮って回るツアーの特典付きだそうな。1万ドルコースは全く無理だけれども、サイン入りの本は一冊105ドル(送料込み)。心引かれるなあ。こちらのプロジェクト、締め切りは5月23日なり。

カンボジア、微笑みの遺跡を巡る - 柿の種中毒治療日記
カンボジア、森に沈む遺跡 - 柿の種中毒治療日記
カンボジア、廃墟となった遺跡を巡る - 柿の種中毒治療日記
さよならカンボジア - 柿の種中毒治療日記




*1:Reflectionには反映とか反射とか熟慮とかいろんな意味があるけど、いまいちピンと来ないね。

*2:1996年にバリ島ウブドに一か月滞在できたのは幸運だったな。あの時はまだ固定電話でさえ数キロ歩かなければなかったし、ネオンも街にともっていなければ道も舗装されていなかった。2006年にバリを再訪して驚いたっけ