- 作者: ジョン・アレン・パウロス,望月衛,林康史
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2004/01/29
- メディア: 単行本
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「天才数学者、株にはまる」を読了。原題の"A Mathematician Plays The Stock Market" には一言も「天才」なんて文字はないんだけど、なんてくだらない突っ込みは置いといて、中身はとても面白かった。効率的市場仮説のパラドクスや、株価の変動が正規分布というよりベキ法則に従うということ、リターンの算術平均と幾何平均の違いなど面白い話がたくさん詰まっている。ちなみにベキ法則というのはウェブの特徴もよくとらえているそうで、あるドキュメントがリンクをk個持つ確率はほぼ1/(k^3)に比例するそうだ。僕がこの日記をつけ始めてからもうすぐ一ヶ月だけど、リンク自体は当然あるしね(はてなのトップページへとかバナー広告とか)。
リターンの算術平均/幾何平均の違いというのもとても面白い。毎週一回株の売り買いをするとして、半々の確率で80%のゲインもしくは60%のロスが発生する場合を考えると、実はこの取引を繰り返した結果、最もあり得る利回りは算術平均{ 80%+(-60%)}/2=10%ではない。 一番あり得るパターンは1.8x0.6x1.8x0.6x...と結果がどんどん小さくなってしまう。そりゃそうだ、という結論なんだけど面白いね。高校の数学でも幾何平均は算術平均より小さいということを証明する問題はあったけど、こういうことだったとは。高校数学自体は苦手ではなかったけど、こういう現実の社会での応用パターンを知ってればもっと興味を持てたんじゃないかな。