柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

東京は雪

ふたり目が覚めたらもう11時を回っていた。彼女のおかあさんから彼女宛へのメールには庭先に雪が積もっているようすが映っていた。テレビをつけると東京の町が雪に覆われている。東京で最後に雪を見たのはいつだったかな。雪の積もった染井通りをダナーのブーツを履いてすっころびそうになりながら駒込の駅へと向かったのが記憶に残る最後の東京での雪。もう10年近く前になるだろうか。その前の大雪の記憶はどこかの公園とつながっている。大雪の中、雪合戦をしたな。
高崎にすんでいた一冬は雪が当たり前に近くにあった。冬の朝は霜で真っ白になったフロントガラスに洗面器に入れたお湯をざばんとぶっかけるところから始まった。街中で雪が積もることはそう頻繁にはなかったけれど、スタッドレスタイヤを冬中はいていたから雪の軽井沢や谷川岳に気軽にスノーボードをしに向かった。赤城山の大池へ友達みんなでむかってワカサギ釣り。池の上に氷が張って、その上を歩くなんて映画の中の世界だと思ってた。池の上に張った氷をドリルで開けてそこでじっと細いレンタル竿を上下にぶらぶら。結局みんなで2匹しか釣れず、最後は穴掘りを楽しんだ。
でも今はそうはいかない。今日はドライブしようねと言っていて、山のほうに行ってみたかったけれどスタッドレスはベランダに積み重ねられたまま。ここでは雪は降っていないけれど六甲山には雪が見えて、チェーン装着の文字が電光掲示板に出ている。雪の日にうちの前のちょっとした勾配を上れずに立ち往生した車をみんなで家から飛び出して押してた高校生のころのことを思い出して、さすがにちょっと怖くて山へは向かえないや。
だからというわけではないけれど、本屋に向かった。家の中でゆっくりお風呂に入って、のんびりコーヒーを飲みながら本を読むのもいい。
東京の生活を思い出した。帰りの飛行機の中の雑誌で『旅に出た気分になれる本』として紹介されていた。東京サブレで詩人に惹かれた。そんな理由で詩はほとんど読まないぼくが珍しく手にとって見たのがブローティガンの東京日記。なんと言っていいかわからないけど、久しぶりに心が震えた。

東京日記―リチャード・ブローティガン詩集

東京日記―リチャード・ブローティガン詩集