柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

Arigato

おとといネットで見積もりを申し込んだら早速何社から連絡があり、今日の夕方に見積もりを依頼。見積もり後に最後の数週間、名残を惜しんでバイクに乗るつもりだったんだ。
ところがどっこい確認をしてみてびっくり。見積もり後その金額に納得した場合は現金払い。すぐにトラックに積んで引き上げていくんだって。そんなこととは思っていなかったけど、もう三社くらいに頼んじゃったあとだしそんなに時間もないので、そのまま今日の夕方見積もりにきてもらうことにした。その分、少ない時間でも乗りたいなと今日はバイクで出社。
ちょっと久しぶりだけど、エンジンはすんなりかかった。いつもの単気筒の音をブロロロロとたてて出発。交差点で止まるとエンジンからの熱が伝わってきてむっと暑いけれど、走っている時間は風がとても気持ちいい。バイクの免許を取りに池袋からバスに乗って埼玉まで通ったな。なんと卒業試験で一度も失敗したことのなかったところで失敗し、さらに頭が真っ白になってこけ、それがさらにトラウマになって何度か免許を取り損ねた苦い思い出も今はなつかしい。それを友達誰にも言えなかったあのときの見栄もいまでは笑って明かせる。新宿のYSPで新車で買って、どきどきしながら駒込のアパートまで戻った10年前のあの日はまだ昨日のことみたいだけれど。
と思ったらエンスト。あ、ガスが少なくなってるんだ。リザーブに切り替えて、再び出発、途中でガソリンスタンドに立ち寄った。クルマと違って燃費はとてもいいから今日だけなら満タンにする必要なんて全くないんだけれど、いままでお世話になった感謝の気持ちも込めて現金満タンを高らかに宣言。といっても8Lしか入らないから1000円ちょっとなんだけれども。
左折すれば会社。右折すれば六甲山。このまま会社をさぼって一日ツーリングでもしちゃいたいななんて誘惑に駆られたけれど、まじめなサラリーマンのぼくはやっぱり左に進路を取ってしまった。
海に架かる橋をわたる。強い風で車体が揺れる。怖いけれどこれもまたクルマにはない感覚。そして緑色に染まる街路樹の間を抜けて、とことこ40km/hくらいでのんびり巡航。体に伝わる振動がいいなあ。
午後はぜひ5時くらいに会社を出て六甲山に行くぞと仕事に励んだ。でも残念ながらどうしてもやらなければ行けない急な仕事に追われて、結局会社を出たのは6時半。あと30分で業者さんたちがうちにやってくるから寄り道している暇はない。まあ感傷的になる時間が少なくっていいかもしらん。
ブロンコ走り納めだけれども道が結構混んでたのでさすがにツーリング先で味わえるような開放感とまでは行かなかった。最後の最後、甲南山手から芦屋へむかう山手幹線の美しい道の一瞬の間だけ、誰にも邪魔されずにこのバイクに一番ぴったりの制限時速通りでトコトコ。最後の最後によかったよ。
家に戻って、待ち受けていた業者さんによる1時間近い査定と三社での一発入札が行われ、その結果ぼくのブロンコはぼくの手元を離れていった。ブロンコのフォルムはバイクの原点って感じで大好きだ。またいつか乗れる日が来るだろうか。もうずいぶん前に廃盤になったバイクで、気に入った人はずっと手放さないらしいからいつか帰国したときに状態のいい中古車に巡り会うなんて奇跡だろうな。夕暮れの街もすっかり暗くなって、そんな中ブロンコがトラックに積み込まれていく姿は見ずに家に帰ってきた。
Sayonara. Sayonara. Sayonara.
こうしてまた一つのものを手放して、またあたらしい生活がはじまり、あたらしい人・あたらしいものに出会っていくんだろうな。それもまた楽しみだ。
Arigato.