柿の種中毒治療日記

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巨象も踊る

スゴい本だ。IBMを復活させた伝説的CEOルイス・ガースナーが瀕死の巨象IBMを復活へと導いた際の話。とても面白く、示唆にあふれていて一気に読み終えた。超巨大グローバルカンパニーのトップがいったいどういう視点でビジネスをとらえているのか色々な学びがある。リーダーシップに対する考え方、戦略に対する考え方もさることながら、組織をどう動かして行くのかというところがとても興味深い。とくにこの本の一章はまるまる企業文化について割かれている。そのなかで、こういう一節がある。

わたしは三つの企業で合計二十五年以上、経営に携わって来た。それ以前にコンサルタントとして、多数の企業の経営を見てきた。IBMに来る以前に聞かれればたぶん、企業文化は企業を成り立たせ成功に導く要因のひとつだと答えただろう。ビジョン、戦略、マーケティング、財務など、いくつもある重要な要因のひとつだと。(中略)
こうした説明は正確だっただろうかが、ひとつの重要な点で間違っていた。
IBMで約十年間に、わたしは企業文化が経営のひとつの側面などではないことを理解するようになった。ひとつの側面ではなく、経営そのものなのだ。

最高の指導者は好業績の文化を作り出す。簡単には達成できない目標を設定し、結果を測定し、各人の責任を明確にする。最高の指導者は変革者であり、組織が常に競争相手より早く適合し、前進するよう促す。
顔が見える指導とは、個人による指導のことであり、組織の全員にとって顔が見えるものでなければならない。偉大な経営者は腕まくりをして、みずから問題に取り込む。スタッフの陰に隠れることはない。他人の仕事を統括するだけの立場にはならない。
顔が見える指導とは、情報交換、開放性、頻繁に誠実に話す意思、それも読み手や聞き手の理解力を信頼して対話を行う意思を意味する。指導者は企業に特有のあいまいな言葉の陰に隠れることはない。悪いニュースの伝達を他人任せにしたりはしない。社員全員を、事業で何が起こっているのかを理解しておいてもらいたい人として扱う。
しかし何よりも、顔が見える指導とは情熱を意味する。どの日にも、どの瞬間にも勝利したいと熱望している。勝利するよう全社に呼びかける。敗北を嫌う。勝利できない場合にはやり方を変えるよう求める。指導とは、距離を置き、理詰めで、冷たいものではない。顔が見えるものなのだ。

彼が動かしている組織は数十万人の超巨大組織だけれども、この原則は数10人、数100人の組織にも当てはまるのではなかろうか。まずは自分のチームが本当にチームとして機能するよう、ぼくがどういったものに価値を置き、どういった行動を奨励しているのか、なにを目指しているのかもっと伝えることに焦点を置きたい。

巨象も踊る

巨象も踊る