三夜かけて『風の谷のナウシカ』をよみなおした。この漫画、第一話が世に出たのは1982年なんだって。ぼくがまだ5歳の時だ。中学生くらいになって映画ではなく、原作の漫画があることを知った。それ以来いつ新刊が出るのか、首を長くしながら待って、完結したのは1994年。12年間をかけて書き上げられたこの漫画はわずか7巻であるにもかかわらず、すごいスケール。圧倒的な迫力。登場人物がみんなすごく魅力的で生き生きしている。そして映画に比べて圧倒的に深い。
何度読んでも飽きないし、新たな発見がある。腐海が生まれた意味、生命を操る科学技術を手にした人間の業、滅び行く世界でなおも争い続ける人々、すべての秘密を知ったときのナウシカの決断。単純な善悪二元論的世界観とは全く異なる重層的で複雑な世界観の厚みがすごい。17歳の時に待ちに待った末にようやく出た最終巻を読んで感じた虚脱感は今はなく、ナウシカの最後の決断にむしろ清々しささえ感じる。こういう漫画が世の中に存在するということは幸せだ。時が立つのと同じくして自分も別の読みかたが出来るようになったのだということも嬉しい。
ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」 (アニメージュ・コミックス・ワイド版)
- 作者: 宮崎駿
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2003/10/31
- メディア: 大型本
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