柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

コクリコ坂から

笑って、泣いた。
音楽が可愛らしい。音楽がないシーンの静かなやり取りも良い。いろいろな情景がとても丹念に描かれている。その中での淡い恋のやり取り。
といいつつ個人的に好きなのはなんといってもカルチェラタンにこもる個性的な面々。太陽黒点を観測し続けたり、無線で別の国の人との交流を試みたり*1実存主義について語ったり。世代的には全く違うけれども、駒場寮にいた面々やあのころの廃寮を巡る争いを思い出す。興味はあったのだけれども、ちょうど入学の時に「廃寮」が宣言されて、怖気付いたのである。彼らはみんな元気にしているかな。ああいう風に数学や化学、哲学を語り合う学生時代を送りたかったな、なんて。ひとりそういう本を黙々と読むだけだった自分が成し遂げられなかった憧れもあるのだろう。
そんな個人的な郷愁はともかく、主人公の一人風間くんを育て上げた父親が魅力的である。っていうか、この物語で一番いい男って彼じゃなかろうか。もちろん時代的なことや実の子をなくしていたなんていう背景もあるだろうけれど、ああやって俊くんを自分の息子としてしっかり育てあげ、息子が自分の本当の父親を探し始めても怒鳴るでもなく静かに助ける。そんじょそこらではない深い愛情。しかも彼は「親友三人組」の一人というわけでもないしさ。何度でも見返したい映画ではあるけれど、願わくば彼と澤田雄一郎との間にエピソードなんかがあったらもうちょっとカタルシスがあったかも。いや、そんなのないから彼は目立たずいい男なのかもしれないけれど。
なんて、目線が完全に親としてのものなんだよな。

コクリコ坂から [DVD]

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*1:ジスイズスチューデントフロムジャパン!という一生懸命な叫びが好き