橋爪大三郎、大澤 真幸、宮台 真司の三人の社会学者による鼎談形式での中国を読解く試み。西洋に『国家Nation』が成立するより遥か以前に帝国を作り上げた中国。『天』をもとにした中国の支配構造の話や、官僚組織の話、『安全保障としての統一であり国民のアイデンティティとしての統一ではない』なんて話はなかなか斬新な切り口で面白かった。確かにぼくの同僚達も政治のことなんて自分に利害が及ばない限り無関心っていう人が多いな。また、中国人の契約に対する考え方もなるほどという感じだし、歴史問題をどう捉えて前向きに進めて行くべきかという提言も面白い。
ただ、日本の政府・官僚がいかに非合理的でダメで、中国がいかに合理的かという話には違和感を感じた。多くの中国人はものすごく自分の利益に聡いし、合理的。ただじゃあその合理性が最終的に物事をあるべきところにもっていってくれるのかといえば、全くそんなことはない。『合理的な』中国の官僚組織にはびこる汚職と猟官なんて日本の比ではないしね。だからといって、日本の政府が優れてるなんてことにはもちろんならないし、どっちもどっちって話ではあるけれど。
別に枝葉の部分っちゃ枝葉の部分の話なので、全体的な面白さを損ねる訳ではないけれど、そういう通俗週刊誌的な日本の官僚批判はしなくてもいいのにねというのが正直なところ。その辺含めてちょっとまだ腹落ちしていない感じ。要再読。
- 作者: 橋爪大三郎,大澤真幸,宮台真司
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/02/15
- メディア: 新書
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