柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

カクテル・アレルギー再発

Gin & Tonic

昨夜は5年ぶりに会社のOBのYさんと会ってお酒を飲んだ。ある外資系企業の日本法人のCFOをされているのだけれども、やはりそういう立場に立ってこそ見えるものもある。色々な話をして、とても刺激になる良いひとときだった。5年のブランクなんて全く感じない。

ところがどっこい、それとは別の意味で物理的な刺激あり。バーでカクテルを飲んでいたのだけれども、その途中から唇がヒリヒリしはじめた。まずい、アレルギーだ。その場でカクテルを飲むのをやめて水に切り替えたのだけれども、時既に遅し。帰宅後、氷枕で唇を冷やして寝たけれど、今朝起きたら上唇が大きく腫れていた。熱を持って痛痒い。

日本を離れて以来、カクテルを飲むという機会が全くなかったので、自分の体質をすっかり忘れていた。お酒を飲んでこうなるのは5年以上ぶり。痛くてたまらないので、皮膚科に行った。症状が出てきたきっかけと、以前にもカクテルを飲んで同じような症状が全く同じ場所に出たことを説明。また、以前にも『固定薬疹』というアレルギーだと診断されたことがあることを説明したところ、診察の結果やはりアレルギーだろうという診断。抗アレルギー内服薬と副腎皮質ステロイドの塗り薬のロコイド軟膏を処方された。そして、夜。薬がだいぶ効いたみたいで、唇の腫れもだいぶ治まった(けどまだ痛い)。


固定薬疹の唯一の予防法はアレルゲンとなる物質を摂取しないことだそうだ。普通はアスピリンみたいな薬に対してでるらしいけれども、食品がアレルゲンになるケースもあるそうな。そこで昨日飲んだ物をリストアップ。昨日飲んだのは、生ビール、紫蘇焼酎「鍛高譚」、コロナ、そしてカクテル一杯。それからドライフルーツ(マンゴー、ブドウ、イチジク)。ビール・コロナは普段から飲んでいるけれども薬疹が出たことはないし、紫蘇も大丈夫。さらに3種のドライフルーツもよく食べているけれど問題がでたことはない。また、痛みが出始めたのはカクテルを飲み始めてしばらくしてからだ。というわけで怪しいのはカクテル。どういうものが入っていたかを知ることで、今後の予防の助けになる。

というわけで昨日の夜飲んでいたバーに電話をして状況を説明したところ、丁寧にカクテルの中身を説明してくれた。昨日のカクテルは柑橘系フレーバーのジン・トニック。主な成分はオレンジピール、カルダモンレモングラス、ジンの薫り付けにつかわれるネズの実(ジュニパーパーベリー)、そしてトニックウォーターだそうだ。

病院の先生曰く、柑橘系の果物に対するアレルギーというのがあるらしい。また、少し文献を検索してみたところ、トニックウォーターに対してアレルギーが出たという症例もあった。今の日本のトニックウォーターからはキニーネの成分は除かれているらしいけれども、トニックウォーターは炭酸水に各種の香草類や柑橘類の果皮のエキス、及び糖分を加えて作られるそうなので、そこに含まれている成分に対して反応しているのかもしれない。思い返してみると日本で暮らしていて何度か薬疹が出ていた時にはかならずジンベースのカクテルを飲んでいた記憶がある。

具体的にどの成分に対してアレルギーがあるのか、怪しい成分を単離してパッチテストとかすれば分かるのかもしれないけれど、この痛みを考えると自分でテストをするのも嫌だ。というわけで、今後はカクテルやトニックウォーターには手を出さないというのが最善であろう。ジン・リッキーとかジン・トニックが好きだった20代前半。でも、もう二度と飲めないのだな。幸いなことに普通のビールとワインに対してはこういう反応が出ないから、ビール・ワインベースのカクテルだったら大丈夫なのかもしれないけれども。

http://www.bitway.ne.jp/ejournal/club/1412102132.html

症例報告 トニックウォーター(シュウェップス(R))による固定疹の1例
野本 正志 ※1  ※1 のもと皮フ科クリニック

【キーワード】 トニックウォーター,シュウェップス(R),固定疹,fixed food eruption
要約 27歳,男性.2003年10月頃より年に数回の頻度で口唇部に水疱が出現し,約2週間前後で治癒するといったエピソードを繰り返すようになった.初診時,主として下口唇の両外側,皮膚・粘膜移行部を中心にして比較的境界鮮明な紅斑上に水疱,びらん,色素沈着を認めた.時々内服していた鎮痛薬による固定薬疹を疑ったが,その後,非内服時にも同様の皮疹が出現したため薬疹は否定された.そこで詳細に問診をしたところ,トニックウォーターを使用したカクテルを好んで飲用することが判明した.シュウェップス (R)トニックウォーターによる摂取試験を行ったところ,口唇部に皮疹が再現した.同トニックウォーターに含まれるキニーネが原因と思われる.

臨床皮膚科 ISSN 0021-4973 (Print) ISSN 1882-1324 (Online) 62巻12号(2008.11)P.888-890(ISID:1412102132)

薬疹 症状、治療など | 皮膚の病気 - Yahoo!ヘルスケア


概説
 体内に入った薬剤に対する過剰反応(多くはアレルギー反応)の結果生じた皮膚症状を薬疹といいます。塗り薬にかぶれた場合は、薬疹といわずに接触皮膚炎(かぶれ)といいます。
 薬が内服や注射で体内に入ったあと、免疫細胞がその薬に対してアレルギーを起こすことをたまたま覚えこんでしまうことがあります(感作)。感作のためには2週間が必要です。そして、いったんアレルギーを起こすことを覚えこんだ免疫細胞が準備されると、その後、再び原因となる薬剤が入れば、早ければ数分、遅くとも2~3日のうちにその免疫細胞が活動してアレルギー反応を実際に起こします(誘発)。誘発されるアレルギー反応は即時型の場合は、数分から30分後にじんま疹やショックの反応として起こり、遅延(ちえん)型の場合は半日から2日後にいくつかのタイプの皮膚症状として起こります。


症状 
即時型アレルギーの場合は、じんま疹の症状がでます(じんま疹型薬疹)。時には、血圧が下がったり、意識消失を起こしたりする、いわゆるショック状態になることがあります(アナフィラキシーショック)。
 遅延型アレルギーの場合は、いくつかのタイプがあります。全身にはしかのような小さい赤みが多発するタイプ(紅斑〈こうはん〉丘疹〈きゅうしん〉型薬疹)が最も多くみられます。多形滲出(しんしゅつ)性紅斑型の薬疹の場合は、その中に重症型のスチーブンス・ジョンソン症候群、さらには最重症型のTEN(テン)型薬疹という移行型があることを考える必要があります。TEN型薬疹では、全身の皮膚が赤くなり、ただれ(びらん)てきます。皮膚を擦ると容易にただれてしまいます(ニコルスキー現象陽性)。
 遅延型アレルギーが関係し、部位に特徴がある特殊なタイプもあります。1つは、固定薬疹です。他のタイプと異なり、ある特定の部分にのみ赤み、色素沈着が生じます。同じ薬を飲んで再発する時には、前と同じ場所に生じるのが特徴です。口唇など粘膜と皮膚の移行部が好発部位です。薬疹を繰り返しているうちに、多発するようになって重症型の薬疹に移行することもあります。もう1つの特殊なタイプは、光線過敏型薬疹です。薬を飲んだだけでは何も起こりませんが、日光があたることで初めてアレルギー反応を起こすタイプです。したがって、露出部位に赤みがでやすいという大きな特徴があります。さらに特殊な型として、苔癬(たいせん)型薬疹がありますが、これは、比較的長期間(数カ月以上)内服を続けたあと生じてきます。