柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

県境をまたいでの移動の自粛解禁である。自粛解禁というのはいかにも日本的な表現だ。自粛というからには自分の判断でリスクをとって行動することになんの問題もないはずだし、『解禁』の対象になるようなものではないと思うけど。解禁だろうがなんだろうが、気を緩めるのではなく適切な行動を取り続けないといけない。

転職して日本に戻ってきて一番驚いたのはこの回りくどい言い方だった。『〜することを検討してください』というメール。これを読んだ上で検討し、自分の判断でやらないことにしたのだ。その結果、困ったことになった。そんな曖昧な表現をせず、『〜してください』『〜するように』でいいのに。なにかとSpecificityにかける表現が多いのだよ。自主性に任せているのか、単に責任の曖昧化なのかどちらだろう?

 

愚痴っぽくなってしまった。この2ヶ月半、自分の判断でほとんど家から出なかった。スーパーに行ったり、家の周りを散歩したりはしたけれど、そのぐらい。子供達も家にいる時間が長く、オンライン授業は続いていたけれどやはりほとんど家にいた。ぼくも1日3時間の通勤時間がゼロになって、家族がとても近く、仲良くなった。禍福は糾える縄の如し。

娘はそのおかげか本好きになったみたい。いまは銭天堂シリーズを夢中になって読んでいる。こないだまでは『おしりたんてい』だったのにね。今日それで銭天堂の続巻を買いに行った紀伊国屋書店で手に取ったのが『の』。とても綺麗な挿絵。『わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の いちばん上のながめのよい部屋の 王さまのキングサイズのベッドの……』とどんどん続いていく。一つのページの要素をズームアップして、どんどんミクロの世界に入っていく。『の』でつながって、その先、その先に続く素敵な世界。そして最後は。。最高の絵本。

『の』に触発されて、今から四半世紀前高校生の時に田舎の本屋で注文購入し、それからずっと大事にしている『パワーズオブテン』を久しぶりに本棚から引っ張り出してきた。『の』の世界と同じように、でもこちらはサイエンティフィックに10の25乗の宇宙から10の-16乗の素粒子の世界までの旅。久しぶりに読んだけれど、やはりわくわく。

日本の都会で暮らしていて何より嬉しいのは本屋に行ってたくさんの本に出会えること。最近はずっとAmazonで買い物するばかりだったけど、実物の世界にしかないものもある。感染対策に気をつけながら、実物の世界に再び少しずつ出ていきたい。

 

の (福音館の単行本)

の (福音館の単行本)

  • 作者:junaida
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 単行本