柿の種中毒治療日記

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カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』

前回の日記からまた3ヶ月近く空いてしまった。スキーをしに磐梯山や長野に行ったり、子供の誕生日を祝ったり。仕事はとにかく忙しくて残業続きではあるけれど充実。健康状態も万全。磐梯山の後で二日間寝込んだけれど。

そういえば最近子供たちがポケモンGOにはまったので、一緒にはまっている。でもそれは子供達と一緒だから、自分だけの時間というわけにいかないし、冬になって寒いから毎晩の一人散歩も止めてしまい、オーディオ・ブックもなかなか進まない。少しずつ少しずつ聞いて、先日聴き終えたのはカズオ・イシグロの『忘れられた巨人』。

何か大事なことが過去に起きたはずなのに、記憶にもやがかかっているようで思い出せない。そのもやの向こうにある「記憶」を探して老夫婦は旅に出る。旅するなかで夫婦が出会うのは、山の上に住むというドラゴンの秘密だった。その秘密の向こうに見え隠れする、無残な出来事の記憶。果たして、その記憶を取り戻すことは幸せを意味するのか? もしくは、それは新たな悲劇を意味するのか? 「忘れられた巨人」とはいったい何なのか? 当代きってストーリーテラーカズオ・イシグロが、アーサー王伝説を下敷きにしながら贈る、異色のファンタジー・ノヴェル。
wired.jp

ナレーションがとにかく素晴らしい。老夫婦が主人公なこともあって『血湧き肉躍るファンタジー』という感じではないし、どちらかというと老夫婦の足取りと同じようにストーリーもゆっくりと進んでいく。でも、そのスピード感が不思議な余韻を生んでまたそれがよい。『忘れられた巨人』というタイトルにもかかわらず、竜は出るけど巨人は出てこない。でもそのタイトルの持つ意味はずしっとくる。とても素晴らしい物語だった。また聴きたいな。