柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

醍醐味

担当しているあるプロジェクトが諸事情で延期になってしまい、このプロジェクトに関わっている面々と『これまでお疲れさま&仕切り直して頑張ろう』飲み。開発やマーケティング、デザインに市場調査、製造などなど色々な部署のメンバー総勢7人でがっつり飲み食いし、がっつりしゃべった。
プロジェクトチームのメンバー達のプロジェクトにかける意気込みとコミットメントは半端ない。ある一つのフェイズが遅れてしまえば期限に間に合わないというギリギリのタイムラインの中で、皆が本当に必死になって頑張って来た事がわかる。プロジェクトの進捗を確かめる毎週の会議からはわからないその裏の苦労や努力がひしひしと伝わって来て、彼らがこのプロジェクトの延期を経営陣から伝えられた時のショックと落胆に心が動かされる。今回はプロジェクト延期という結果になってしまったけれど、これだけ熱い人たちと一緒に一つのプロジェクトに取り組めるのは幸せな事だ。
と同時に、2つの事を強く心に留めようと思った。
まずは、自分の仕事の影響力の大きさ。僕の仕事はプロジェクトの収益性・採算性をきっちり管理しながら意思決定を支援して行く仕事。だからこそ、僕の作る数字によってはプロジェクトの延期や中止ということも起こりうる*1。数字を作るというのは机の上でできることだし、それを基にした意思決定は会議室で経営陣によって行われる事だけれど、だからこそ現場の気持ちに最大限に答えられるよう真剣に・自分のこととして取り組まなきゃ。多くの人が情熱と時間を注いでプロジェクトを前に進めようとしているのだから、それをしっかり結果に結びつけれるようにこちらも必要とあらばどんどん介入していって*2、人の努力を無にしないようにしなきゃ。
そして、それと同時にどれだけ客観的でいられるか、ということ。プロジェクトチームにとってそのプロジェクトは自分の子供みたいなもので、その愛着は半端なものではない。でも、だからといって僕たちファイナンスがその『思い』だけに流されてしまってはいけない。Sunk costに意思決定をゆがめるような事があっちゃだめだし、とれないリスクを冒して大失敗ということになってはそれこそ今までやって来た事が無になるし。プロジェクトにどっぷり身を置く張本人でありながら第3者の視点を忘れてはならない。
そういう意味で、事業会社で仕事をするのはコンサルティングファームで第3者の視点から仕事をするのとはやっぱり違うなと思うし、このジレンマとバランスが事業会社のファイナンスの仕事の醍醐味だなーと思うのです。

*1:今回の延期の原因は僕のアナリシスとは直接関係ないけど、間接的には多少あるし

*2:僕らの仕事は稟議書を審査する審査部の仕事じゃない。やっぱりプロジェクトの『当事者』だしそれこそが楽しいね