柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

伊勢熊野旅行3日目

昨日までの青空からうってかわって朝から雨がしとしと。ぼくは雨男ではなかったつもりだけれど。今日はここから始まるなかなか波瀾万丈、どきどきする1日だった。
雲のたれ込める熊野灘を眺めながら朝風呂*1。出発の準備を整えて、もうすぐ還暦を迎えるお義父さんにみんなでメッセージカードを書いて、素敵な時計を贈る。とても喜んでくれたみたい。ユーモアがあって、率直で、仲が良くて。こういう夫婦になりたいなあ。
休暇村を後にし、新宮まで戻ってそこから本宮へ。熊野川の広い河原と深い緑の流れを右手に見ながら快適ドライブ。今回は熊野本宮には立ち寄らず*2、そのかわりに欲張って高野山を目指す。
高野山へのルートは地図を見る限り3つ。熊野本宮から国道311号を中辺路までむかって国道371号で龍神村に抜け、高野龍神スカイラインを通るルート。本宮から十津川温泉を経由し、国道425号を使って龍神に抜けるルート。最後は十津川街道を天川村まで抜けてそこから県道53号高野天川線を使って高野山に向かうルート。
1番目は去年の伊勢旅行で国道311号を使ってとても広くて快適な道だったので遠回りっぽいけど安心。中辺路からの道も5年前にバイクで通ったことがある気がするし嫌な記憶はない(これは気のせいだったっぽい)。2番目のルートは交通量が多いと書いてあるから渋滞するのがいやだ。3番目のルートはその昔テレビで見た『天河伝説殺人事件』で榎本孝明演ずる主人公がソアラを駆って狭くくねくねした山道を走っていた映像が突如よみがえってきたのでパス。
ということで一番目のルートを選んだんだけど、これがドキドキの始まり。中辺路までの途中一度だけ掲示板で国道371号通行止めという看板が目に入ったような気が。これが最初のドキドキ。小1時間走って中辺路までいった後で引き返すのはいやだなあと思いながらも次の電光掲示板が待てども暮らせども出てこず気づけば中辺路。国道371号との交差点が間近に迫ったところで、ようやくゴールデンウィーク中のみ通行止め解除の看板を発見。助かったあ。しかし普段通行止めなのに解除できるってどういうことだろう?と次の疑念がわく。
工事中のトンネルの目の前を迂回し、川沿いの細い一車線の道をしばらく走る。こんな道だったっけ?対向車が来たら面倒だしこの道を延々龍神村までとかいやだなあ。。。と、しばらく走っていたら立派な道路に出てきた。この道はバイクで走った記憶がある気がしてほっとした。と同時に新たな不安に包まれる。立派な道なのに車が全く走ってない。どうなってるんだ?霧に包まれながら山道を登り、いくつかのトンネルを抜ける。なんかこのまま黄泉の国にでも迷い込んでしまいそうな、いやーな雰囲気。
としばらく走っていたら目の前に再び通行止めの車止めが出てきた。え?どういうこと???
しかたなく迂回路に入る。この道がさらに怖い。一車線の細くてクネクネした山道で、至る所に落石がある。雨が強かったら土砂崩れとかに遭いかねん。落石をよけようにも道幅がとてもせまい。一度ハンドボール大の落石の上を通ったらゴツンとクルマの下に激しくあたってさらに冷や汗。ケータイも圏外だし、こんなところでクルマが止まったら四人で遭難だ。
愛車よ止まるなと念じながらおそるおそる走っていくと、古い鉄橋を超えて小さな集落にようやくでた。『安倍晴明社』とかいう小さなほこらが道ばたにある。これは安心していいのかそれとも異次元への旅立ちか。
道路沿いに龍神という標識を見つけてほっと一安心するも持ってる地図を見てもどこだかわからない。しばらくゆっくり走ってようやく人を発見。たまたまバザーか何かをやっている地元の人に高野龍神スカイラインへの道を教えてもらう。ほんとに生きた心地がしなかった。
あとから調べてみたら二つ目のルートはさらにすごい道らしい。ガードレールもない細い山道に『死亡事故多発、転落注意』と。しかもそういう道が続く距離も一つ目のルートの比じゃないみたいだし。熊野から高野に直接抜けるというのは至難の業なんだなあ。都会で暮らしているとこれ以上どこに道路を作るんだという気になっちゃうけど、道路が整備されてないというのはまさに死活問題だなあ。にわか道路族の誕生である。
とまあかなりハラハラドキドキしつつも、このあとは無事高野龍神スカイラインを通って護摩檀山から紀伊半島の山々を眺め、高野山にたどり着いて奥の院と金剛峰寺にお参りした。

高野山からの帰りもクネクネと山道をおり、紀ノ川沿いに出てからは川の南側の道を快適に走って和歌山から高速に乗って一気に神戸へ。移動自体がアドベンチャーな1日だった。こういう道って今でもあるんだなあ。今回の反省は古い地図しか持ってなかったこと。ツーリングマップルはとても見やすくて便利なんだけど*3、古くちゃあ意味がない。紀伊半島の道路情報をみたらあちこち土砂崩れによる通行止めもあったし、そもそも国道371号は『不通区間』とやらがある『酷道』として知られているらしい。新しい地図を買った上でネットも使って入念にプランしなきゃ。

*1:このあたりでは僧侶が入定するときに小舟を浮かべて熊野灘へと漕ぎだすということが行われていたということをふと思い出した。この海は太平洋。西方浄土を目指したのか東にある蓬莱山を目指したのか記憶は定かでないけれど、海って怖いなあとなぜか感じた。

*2:熊野三社の総本山をなぜとばすってな気もしないでもないけれど、門のすぐ前にテントを張って八咫烏つながりで日本代表サッカーチームのグッズを売っちゃうあたり、正直商業主義が行き過ぎて神聖な地を自分でおとしめてる気がする。素人にわかりやすい形で。

*3:といってもバイク用なので細くてクルマには厳しい道も『おすすめ』だったりするのは要注意