柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

宝島

金曜日。通勤のクルマの中でこの1ヶ月弱たのしんで聴いた宝島もついに大団円を迎えた。戦後、米軍統治下の沖縄で、米軍基地から物資を強奪してそれをコザの人たちに分け与える英雄だった戦果アギヤーの若者たちの物語。米軍、米民政府、琉球警察、ヤクザ、教師、戦争孤児、娼婦たちとさまざまな人たちが登場する。冒険譚であり、サスペンスであり、成長譚であり、喪失の物語。

通勤中にもかかわらず涙が抑えられない場面もある。沖縄が置かれてきた苦しみ。それでも沖縄の場所の持つ力とそこで暮らす人々の力を感じる物語。沖縄の基地を巡る問題を扱いながら、極上のエンターテインメントでもある。

オーディブルで朗読をしている松本健太さんという方は沖縄出身らしく、登場人物たちの話す沖縄の言葉も魅力的だった。

【第160回 直木賞受賞作】宝島

【第160回 直木賞受賞作】宝島

  • 作者:真藤 順丈
  • 発売日: 2018/06/21
  • メディア: 単行本