柿の種中毒治療日記

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保身、隠蔽、透明性

ニュースを見てたらとんでもない話が。日本全国の電力会社で臨界事故を含む原子力発電所での問題を隠蔽してたんだってさ。なんと97件も。どうなってるんだ一体?原電事故が起きた事そのものも問題だけど、それを隠蔽していたというのが何より問題。組織管理のまずさを露呈している。現場レベルで保身のために隠蔽したのか、それとも本社レベルで保身のために下のせいにしているのかはわからないけれど、どちらにしても保身が正しい事・すべき事より優先されている。ま、情報をあげない下が悪いというのは無責任な話で結局悪い情報があがってくる仕組み・文化を作らない上にも問題ありありだよね。
といいつつも、これってどこの組織がというより個人の資質も大きいなって今日正に実感した事でもある。今僕のビジネスはなかなかムズかしい状況に直面していて、それを解決するために以前の意思決定の帰結を正しく認識し、問題点を浮き彫りにして変えるべきところを変えなきゃどうしようもない。
そのためのタスクフォースが結成されてそのチームに入ったんだ。リーダーは僕の今の上司のアメリカ人。彼はWe need to recognize the realityというのが口癖でtransparency(透明性)というのを何より重視している人。いい事だろうが悪い事だろうが事実を知らせることが最重要だと信じている。現実を直視できて初めて真の問題も浮き彫りになるし、やるべきことができるんだって。だから彼のコミュニケーションも直截で彼のサマリーには現実を指し示す数字/言葉がずらっとならんでいる。そこに以前の意思決定を行ったときにGo signをだした一人から注文が入った。まず何を問題としてどうコミュニケーションするかに長々と反対意見が。
まあ、それはそれで一理あって戦犯探しは目的ではないし、うまく行っている事だってあるのでなにもかもダメだなんてニュアンスにしちゃうと解決すべきことが見えなくなる。だからコミュニケーションには気をつけるべきだろう。でも、『新しくやって来た人間が過去の意思決定をあげつらうのはよくない、だからそういう見せ方をすべきではないしそこの所のトーンをチームとして合意しなきゃいけない』と繰り返し主張するのはどうなんだろう。保身ってこういうものかね。
組織の雰囲気を保つ事と現実を直視しない事は違う。ビジネスなんて所詮仮説とその検証の繰り返し。仮説が間違っていたんならそれを素直に認めなきゃ次に進めない。間違った仮説を立ててしまった事自体を責めるべきではなくて、それが起きてしまった仕組みを改める事でこそ次があるのに。そこを人や自分をかばってうまく取り繕う事に目を奪われ、事実を隠しちゃうなんてことやってると逆に内向きの政治的なやりとりに嫌気がさして組織の雰囲気が悪くなるんじゃないかね。責任ということをどの程度のスコープでとらえられるかという器の大きさの問題だよ。
まあ、そういう人に対して正面からぶつかるだけでなくうまく付き合う術を日本に来てから覚えたボスによって、うまく話は収まったんだけど仕事自体は進まず。
現実と、過去の自分自身の過ちに向き合う勇気を常に持ち続けたいもんだ。