柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

官僚制度の行方

忙しい。今日も二直体制だ。そんな中夜中にニュースをみてたのだけど、最近の官僚制度を巡る議論は外から見ているととても面白いね。
まずは最近話題の天下り&渡り。キャリア官僚というのは厳然たるピラミッド構造になっていて、次官競争に敗れたものがどんどん本省を去って行く構造だそうな。そこで再就職先を確保するために天下りがある。で、『天下り=悪』だと認識されてるからそれを是正するための措置として『 定年延長に加え、定年を待たずにキャリア官僚が退職する慣行の是正』をしたいんだそうだ。これって終身雇用を可能にする道を模索するってことなのかね。終身雇用ってとっくに『民間』でも崩壊していると思ったけれど。民間での終身雇用制度崩壊はもうどうにも止められそうにないんだし、それを前提とした上で雇用の流動化やセーフティネットの充実化の旗振りをするべき官庁が逆に率先して終身雇用の方向へ傾くのだとしたらなかなか皮肉な話だ。
そもそもぼくの知る限りキャリア官僚って競争心の強い人たちが多いし、だからこそタフな仕事をこなせてるところもあるのだと思うけど、そういう人たちに『昇進はなし、でも会社には残って下さい』なんてのは有効なのだろうか。そういう実力のある人たちはある程度で見切りを付けて自力で転職して行く気もするけれど。終身雇用で楽をしたい人たちばかり逆選別されるのだとしたらまったく本末転倒だし、平均年齢がさらに高くなり風通しがさらに悪くなって悪い意味での官僚主義が蔓延する土壌を強化するだけじゃないかとも思う。
そもそも論で言うならば、官僚に対する報酬制度自体もっとドラスティックに見直すべきじゃないのかね。それこそ投資銀行だったり企業法務の世界だったりコンサルティングの世界だったり、若いうちから高額報酬を得ることができるチャンスと天秤にかけた上で国家のためにとの志を持って官僚の世界に飛び込んでる人たちだっていっぱいいると思うんだけど、そういう人たちにただ清貧を求めるのはどうなのだろう。確かに国家公務員は『公僕』たるべきだとは思うけれど、人事の観点から行ったらやっぱり競争力のある報酬で優秀な人材をひきつけるというのは当然のやり方な気がする。将来の天下りと渡りをエサに現在の低い収入を正当化しているのだったら天下り禁止に対する官僚の抵抗も理解できるけどね。むしろ高い給料と大きな裁量権をしっかり与えて、どんどん選別していくというほうがよっぽど良さそうだけど(それでも実力主義で揉まれた人材なら転職先には困んないのではない?)。なんか本当のissueがちゃんと発見されているのかよくわからん。
一方で民主党は『民主に賛成の官僚以外クビ』だそうな。面白い、面白すぎる。行政のトップが大統領が変わったらがらっと変わるアメリカ型を志向しているのかもしれないけれど、これを推進するならさらに官僚組織のあり方に踏み込まなきゃ行けない。人事評価の仕組みや報酬制度だけでなく、抜本的なカルチャーの改革が必要なんじゃないかね。まあこないだ日本に帰った時にたまたま話したキャリア官僚の知人との話ではぼくが思っている以上に官僚の世界は『官僚主義』的みたいだからこんなことして同時に天下りを禁止したら一体どうなることやら。

「民主に賛成の官僚以外クビ」鳩山氏、政権奪取後の構想
 民主党鳩山幹事長は9日、大阪市で開かれた関西経済同友会の会合で講演し、民主党政権での政府人事について、「(各省庁の)局長クラス以上に辞表を提出してもらい、民主党が考えている政策を遂行してくれるかどうか確かめたい。それくらい大胆なことをやらないと、官僚の手のひらに乗ってしまう」と述べた。
 民主党政権が実現した場合、中央省庁の局長級以上の幹部にいったん辞表を提出させ、民主党の方針に賛成する官僚のみを引き続き採用する考えを示したものだ。
 幹部公務員の政治任用制の拡大は民主党の基本政策の一つで、2007年参院選公約にも盛り込まれている。03年に当時の菅代表がまとめた政権構造改革案では「各省庁の局長級以上で新内閣の基本方針に賛同しない官僚には辞表を求める」と明記している。

(2009年2月9日20時40分 読売新聞)