柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

Conflict of interest

ニュースを見ていたら漢字検定協会のニュースをやっていた。曰く公益法人であるにもかかわらず二年間で15億円の利益。現在の総資産は70億円にせまり、この法人の理事長とその長男が務める副理事長が代表を務める別会社との間に巨額の取引があると言う。このニュースに対して、NHKのキャスターは『それだけ儲けているんであれば、受験料を安くしてほしいですね』とのこと。そこかよ!!
この発言の背後には『公益法人は公の利益のために存在するのだから儲けるべからず』という考え方があるのだろう。(それはそれで間違っているわけではないし、医療なんかの現場では収益性よりも優先されるものがあってしかるべきだと思う。)じゃあ漢字検定協会のやっている仕事は本当に利益を生み出してはいけないものなのだろうか。漢字検定協会の業務が国民の教育レベルを維持する根幹をなす『公益』となる仕事だとはとても思えない。どっちかっていうと漢字検定じたいなんらかの資格が欲しい人のためのステータスというほうが適当なのじゃあないかね。
蛇足ながらうちは外資だからということもあるかもしれないけれど、履歴書に漢字検定何級と書いて来た人を見たこともない。ぼく自身も漢字検定何級というのを大して評価はしないと思う。一般教養として難しい漢字の読み書きができるにこしたことはないけれど、そんなものと仕事に求められる能力に直接の関係があるとはちょっと考えにくいし。
とかなり脱線したけれど、漢字検定というアイディア自体はとてもいい『利益を生める』アイディアだと思う。だってマーケティングの効果もあってか5000円もするような試験を受ける人たちが引きも切らないわけだしね。漢字検定を受ける人にお墨付きを与えてあげられるという付加価値を持っていてそれが広く受け入れられているなんてスゴい話じゃん。受ける人が食費を削って漢字検定を受けてると言うならともかくだけど、だったら受験料を安くするとかよりこの収益をどこかもっとお金を必要とする『公益』のための事業に回せる仕組みを考えるほうがよっぽど良いんじゃないかね。(今の仕組みを換えるのが難しいという話は置いといても。)税金の優遇措置が問題なのなら一定のスレッシュホールドを超えた場合には普通に課税すれば良い。
むしろ完全に問題なのは長男が副理事長を務め、かつ身内の会社を取引先に選んでそこで蓄財をするという『公益』法人の私物化であり、利害関係の相反(Conflict of interest)がまったく監査されていないところではないのかね。公務員の倫理規定では食事やゴルフ、接待なんかについて細かく定めてあるけれども、そもそも公益法人でこれだけの私物化が可能なのだとしたらそっちのほうがよっぽど大きな問題だと思うけど。
法人として儲けれるアイディアがあること自体が悪いわけじゃない。その儲けが公益法人でありながら私物化されているということこそが問題なんじゃないの?まるでフィリピンの汚職構造そのものじゃないかこれじゃ。