柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

朗読者

木曜日。ベルンハルト・シュリンクの『朗読者』を読み終えた。これまで積ん読だった本をかたっぱしから読んでどんどん断捨離していこうと思っていたのだけれど、思いがけず再読しようという本にいきなりぶつかった。

奥付けを見ると買ったのはもう15年以上前。前半の少しセンセーショナルな内容に、当時のぼくは途中で読むのを止めたままだった。15年経って自分もそれ相応の年になり、そのセンセーショナルな部分をすんなりと受け入れて第一部を読み終え、その先の第二部は重くのしかかってくる内容。夢中でページをめくり、一気に読んでしまった。

名著『夜と霧』は収容所に収容された側の心理学者による、重くしかし素晴らしい本。『朗読者』はその向こう側、ナチスの収容所に看守として加担してしまった人と、その人を愛してしまった主人公の物語。『向こう側』にいた人もまた一人の人間であり、モンスターでもなんでもないのだね。その事実があったからといって戦争犯罪が減免されるわけれではないけれど。それでもやはりあちらとこちらは地続きなのだと思う。自分を一方の場において他方を断罪するのは簡単だけれども、ハンナが裁判長に聞いた『あなただったら、どうしましたか?』という問いはとても重い。そしてそういう人のそういう側面を知ってしまった主人公の葛藤。自分だったらどうする?やはり答えはすぐにはでない。

朗読者 (新潮文庫)

朗読者 (新潮文庫)

勇者休業のお知らせ

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新居に家電製品を揃えるためにヨドバシカメラを訪れるたびに、いやでも耳に入ってくる例のファンファーレ。なんとか無視を決め込んでいたのだ。けれども、8月末にとあるダイヤモンドオンラインのとある記事を読み、中年勇者としての責務に目覚めた僕はいてもたってもいられなくなってその翌日PS4 Proを購入。子供たちが寝静まった夜にコツコツと冒険を積み重ね、はぐれメタルを狩り、到達したレベルは37。しかしなんだか疲れている。世界を救う重圧には休養も必要であろう。思い切って昨日の夜冒険を中断してみたところ、なんともすっきりとした気分。

読みたい小説を読み、聴きたい音楽を聴き、夫婦で週末旅行の計画を立て、子供の話をし、そしてオフィスでも元気いっぱい。勇者としての責務などというものは存在しなかったんだ。というわけで没我の境地から現実に戻った僕は今日も冒険には出ず、週末のみのパートタイム勇者となることにした。おや、現実世界にはとてもきれいな花が咲いている。もう秋ですね。


diamond.jp

『忍びの国』

和田竜さんの『忍びの国』を読了。主人公であろう伊賀の国の面々になかなか感情移入しずらく、むしろその伊賀を侵略する面々に対して感情移入しやすいという面白い設定。最後はそうか、そうくるかという感じ。

自分は普段意識せずとも博愛主義とか現代的な価値観に基づいて判断している。武士は食わねど高楊枝という価値観もあれば、生きるため金のためならなんだってするという価値観だってある。ついつい自分のものの見方に固執してしまうけど、どれがよくてどれが悪いなんてわけではないのだろう。

なんて難しいことは考えず楽しく一気に読み終わった。

忍びの国 (新潮文庫)

忍びの国 (新潮文庫)

中華街の賑わい

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日曜日。家族で元町中華街をぶらり。たくさんの人で賑わっていた。媽祖廟に少し足を踏み入れて、写真を一枚。懐かしいな、こういう光景。中国で暮らしていたのはつい昨日のことのようだけれども、もうずいぶん前のことになる。そういえばふと気付いたけれど、過去10年を振り返ってみるとぼくが住んでいた街やその近くにはどこにでも中華街があったな。なんだかそういう縁なのか、それとも海を越えていろいろなところに根付き、それでもルーツを忘れない華僑のパワフルさということなのか。

媽祖廟のそばのお店で五目そばと炒飯セットを食べた。4年間中国、食在広州の街で毎日のように食べ続けてかなり舌が肥えたと思うけれども、なかなか美味しいや。帰りに聘珍楼で肉まんを少し買ってみた。いろいろな店を開拓したい。

カモメ・カモメ

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氷川丸を係留する鎖にカモメが一列にならんでいた。

カモメって言ったらなにを連想するかな。真っ先に頭に浮かんだのはChick CoreaのReturn to foreverというアルバムのジャケット写真だけれども、あのアルバムどこへ行っちゃったんだろう。自分のiTunesライブラリを見てみたら曲そのものは見つけられたから久しぶりに聞いてみる。いろんなものがデジタル化されて便利だけれど、たまにそういうジャケットが恋しくなる。あとはかもめ食堂、かもめの水兵さん。あれ、そこからあまり連想が広がらない。

ついこの間、窓から外を見ていた娘がかもめを見たと騒いでいた。カラスの間違いじゃないかななんて内心思っていたけれど、そういうこともあるのかもしれないしそっちの方がちょっと雰囲気がある。

横浜マリンタワー

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週末に山下公園で撮った横浜マリンタワーの写真。というのは語弊があって、マリンタワーをバックにしたバラの花。

ここしばらく塔のある街に住んでるな。広州タワー、ソウルNタワー、直近の東京タワーを経てマリンタワー。思い起こせば神戸にもポートタワーがあった。あれ、マニラはどうだっただろう?タワーマンションはたくさんあったけれど、こういうタワーはなかった気がする。

スーパースター・クルーズ @ 横浜

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週末の山下公園から大桟橋の方を眺めていたら、とても大きな船。どこか見覚えがある。Virgoという船の名前。あ、これ香港のスーパー・スタークルーズだ。香港の常宿だったルネサンス・ハーバービューから航行しているVirgoの巨大さにびっくりしたなと思って家に帰って自分の日記をチェックしたら、やっぱりその時の写真を撮っていた。あいかわらずすごい大きさ。手前の船だって小さくはないだろうに、あらためてびっくり。それから香港で撮った写真をもう一度見てみてあらためてびっくり。香港で撮った写真はずいぶんと霞みがかってる。単なる海霧だったのか、それとも大気汚染だったのか。どっちだろう。

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