柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

バリ島3日目。苦しむ。

前日からのバリっ腹*1に今日も苦しむ。来る前からビオフェルミンとかで腸の調子を整えておけば良かったと思うも後の祭り。朝から手足も重いし、ベッドから起き上がる気力が起こらない。同じものを食べてぴんぴんしている彼女には申し訳ないけれども、昼から予定していたライステラスを見に行くプランは明日に延期することにした。夕方のグンタ・ブアナ・サリのガムラン&レゴン公演はとりあえず様子見ということにして正露丸を飲んで、読書と決め込む。
その分、読書はすいすい進んだ。塩野七生さんのレパントの海戦にて地中海を舞台にしたイスラム対キリスト教の三部作を読了。
バリ島はヒンドゥー教の島だから、いたるところにいろんな神様の像やお供え物が散見される。

こういう多神教の島で一神教の宗教同士の争いの歴史を読むというのはなかなか面白い。とはいえ別に一神教/多神教だからいいとか悪いとか言うつもりは毛頭ない。イスラムというと原理主義なんて図式がついつい思い浮かんでしまうけど、スレイマン大帝下のトルコ帝国は他宗教に対してもかなり寛容だ。逆に多神教ヒンドゥー・仏教は寛容なんて図式だって思い浮かびがちだけど、他の宗教に対して非常に攻撃的なカルトだってたくさんある。一神教だろうが多神教だろうが安易な二元論に陥らずに多元的なものの見方ができるかどうか、不寛容さをどれだけ避けられるのか。僕自身は完璧な無神論者だけど、どれだけ多元的な視点を持てるのかというのは多様性を理解するための鍵でもあるよな。
で、ペースに乗って村上春樹青春三部作も読了。喪失感に満ち満ちたこの本をどうしてみんな読んでしまうんだろう。もちろん僕もその一人な訳だけど。
そんなこんなしているうちに、太陽が沈みかかって来た。気付けば手足のだるさもほとんどなく、かなり元気になって来たので予定どおり、グンタ・ブアナ・サリを見にプリアタン村バレルン・ステージへ。(Link: Peliatan.com)
行きはマンダラ・ケイコさん*2の車に同乗させてもらい、短い車中ではあるけれど色々な話を聞かせてもらった。10年間でウブドがどれだけ急速に変わってきたかであるとか、ロイヤル・ピタ・マハの由来についてとか。なにより意外で驚きだったのはロイヤル・ピタ・マハの経営について。物価も人件費も安いバリでのリゾート経営は儲かるんじゃないかななんて思ってたんだけど、経営という点では別にほめられたものじゃないとのこと。
というのも、他の外資系リゾートと違ってピタ・マハはウブド王家の経営で、収益をあげることはともかく、ウブドを豊かにするということを非常に強く意識しているのだそうだ。だから、採算性をある程度犠牲にしてもウブドの若者を育てるため、なんと45棟のヴィラのリゾートに450人の雇用者がいるんだって。その人たちにホテル教育や英語教育なんかを一からして何もないところから作り上げた結果、今のロイヤル・ピタ・マハがある。みんな英語もうまいしサービスも早い、笑顔も最高でバリのエリートかと思っていたんだけど、その裏にはそういう努力があったんだ。超一流ホテルのホテルマンの持つサービス技術・ホスピタリティに比べればまだまだだ、ともおっしゃっていたけど、そういう話を聞くともう俄然ファンになる。

そんな車中の会話を楽んだところでいよいよグンタ・ブアヌ・サリ。このグループは非常に若いメンバーが多い。そのせいか、昨日のレゴンよりも若干の初々しさと、それを補ってあまりあるパワーがある。演目は歓迎の踊りペンデット、戦士の舞バリス、ウサギのダンスのタリ・クリンチ、レゴンラッサムと続き、極楽鳥のダンスのチャンドラワシに男の仮面のトペンで締め。バリスは昨日の男の子に対して、結構年のいった男性による舞。その分、目や指先の細かい表現力は分がある。

そして、未来のスターを目指す子供たちによるウサギのダンス。とても微笑ましい光景。学芸会を見る親の気分とはこういうものだろうか。とはいってももちろん学芸会レベルではないけれど。特にその中でも一人抜群に上手な女の子がいて感心した。きっと彼女は次のスターだな。そしてトペン。こちらは昨日とは違いジャウックという割と激しい舞。体型からしてバリスと同じ人が待っていると思われるこの踊り、細かい表現とダイナミックな表現がうまくバランスしている。長い爪をならして細かいビートを刻み、打楽器クンダンのソロと対峙する姿は迫力だった。
終わった後にはちょっとガムランを叩かせてもらった。とても久しぶりでうまくミュートができないのはご愛嬌。昨日とはいろいろな点で全く違って新鮮。最高に満足して帰途についた。

*1:地球の歩き方によると、こういうのをバリっ腹と呼ぶらしい。心配には及ばないとのことなので一安心

*2:19年前にウブドプリヤタンの王族、マンダラ家に嫁がれた日本人女性。海外で活躍されている日本人女性特有の力強さに漲っていた。10年前にお世話になったマンダラ・バンガローはマンダラ家のものだったのでその時にも実はお世話になっている。直接の面識はなかったけれど。今回泊まったピタ・マハはマンダラ家の縁戚関係にあるウブド家の経営ということで、ピタ・マハの経営にも関わっていらっしゃる。すごい。