柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

マチネの終わりに

平野啓一郎さんの「マチネの終わりに」を読了。面白い。

子供の頃から活字中毒で、本ばかり読んでいた。でもここ最近、長編小説を読む気力体力が落ちてきた気がしていた。ネットの短文ばかり読み慣れてしまったからだろうか?

ところがどっこいこの小説を読み始めたら止まらない。忙しい毎日にもかかわらず、止まらない。面白い本に出会えると時間の余裕があまりなくても関係ないんだね。

大人の恋愛小説だけれども、それだけではない。音楽、ジャーナリズム、親子関係、職業倫理、差別、テロ、難民、親となること、離婚、裏切り、絶望、希望。そしてそれらを通じて垣間見える主人公二人それぞれの、軸となるプリンシプル。主人公二人がとても魅力的だ。そして、作者の人間を見る目が暖かい。

物語の最後は読者の想像に任されている。二人はきっと語り合い、わかりあい、でもお互い恋人としてではなく独立独歩で歩き続けるのではないだろうか。なんて想像はつきない。もう一度読んでみたい。

マチネの終わりに (文春文庫)

マチネの終わりに (文春文庫)