柿の種中毒治療日記

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ゲド戦記

13年前に一度、そして7年前に再び読んだ『ゲド戦記』をまたまた読み始めた。まずは第2巻まで。

第1巻はいつ読んでも面白い。ワクワクするし、ハラハラもする。光と闇というモチーフは今や古典的でもあり、安心感がある。

それに対して第2巻。第2巻は血湧き肉躍るような話ではないし、迷宮の中に囚われたゲドが八面六臂の大活躍をするなんて話でもない。ロールプレイングゲームや漫画にはなかなかなりにくいかもしれない。これはゲド戦記という名前だけれど、ゲド自身はあくまで脇役だ。

二巻は読み返すたびに感想が変わる。13年前の日記を読むと「閉塞感がある」という印象を書いていた。7年前には「味わい深く広がりがある」との感想だった。

主人公は名前を奪われ、闇の神殿で大巫女として使えるアルハ。前の巫女の生まれ変わりとして五歳で神殿に連れてこられたアルハは、外の世界を知らない。そしてその立場は神殿の絶対者である。神殿内の絶対者として祭り上げられ傲岸に育つアルハ。一方で自分の部下たるコロンは実は神を信じておらずアルハ以上に権力を持つ。そのコロンに対する恐れ。そして女人以外立ち入れない闇の神殿にやってくるゲドによりすべてが変わり始める。そんななかアルハの心の動きが抑えた筆致のなかにありありと浮かんできてとても面白い。自由とはなんなのか、ということを問いかけてくる。

一度目より二度目。二度目より三度目。読み直しても飽きることが全くなく新鮮な気持ちで楽しめる。すごい本。

ゲド戦記 1 影との戦い (ソフトカバー版)

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ゲド戦記 2 こわれた腕環 (ソフトカバー版)

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