熱はとりあえずかなり下がったけど、まだ37℃弱。それよりなにより四六時中続く咳と喉の腫れがひどい。インフルエンザウイルスは気道上皮細胞に感染するらしいから、まだまだ僕の喉はインフルエンザウイルスの巣なんだろうなと思うとぞっとする。これで会社に行ったら歩く生物兵器だ。
とはいえ頭はある程度明瞭になって来たのでインフルエンザウイルスに付いてちょっと調べてみた(引用はすべてWiki)。ウイルス感染の仕組みってすごい精妙だなーという妙な感心はさておいといて、乱暴に言うと今飲んでいるアマンタジン*1っていう薬はインフルエンザウイルスが宿主細胞に取り込まれた後、外殻を脱ぎ捨ててウイルス遺伝子を宿主の細胞質にばらまくところを抑えることによってウイルスの増殖を抑えるみたい。つまり、ウイルスそのものを殺したり、すでにウイルス感染している細胞を殺したりできる訳じゃないわけで、そこはあくまで自分の体の免疫システムの働きいかん。
てなわけで、すでに4日めを迎えた闘病生活*2は自分の免疫力に期待するフェイズに入った訳だ。んー、自信ねえ。
脱殻
エンドサイトーシスは本来、細胞表面の異物などをクラスリン被覆小胞によって取り込んで分解するために細胞に備わった機構である。取り込まれた小胞はエンドソームと膜融合し、エンドソーム内部にあるタンパク質分解酵素などの働きで小胞内の異物を分解する仕組みであるが、インフルエンザウイルスはこの過程から巧みに逃れて、ウイルス粒子から遺伝子だけを取り出す(脱殻する)と同時にそれを細胞質に放出する。
脱殻の過程で重要な働きをするタンパク質の一つはM2タンパク質である。M2タンパク質はエンベロープ上に発現するイオンチャネル型の膜タンパク質である。ヘマグルチニンやノイラミニダーゼと比べると数が少なく、突出も小さいため、通常はスパイクタンパク質には含めない。
M2タンパク質は水素イオンを選択的に通過させるイオンチャネルであるが、その作用はエンベロープ外の水素イオン濃度に依存する。外側の水素イオン濃度が高い、すなわちpHが低い状態になると、M2タンパク質が開いてウイルス粒子内部に水素イオンが流れ込む。ウイルス粒子を含んだクラスリン被覆小胞はエンドサイトーシスの経路に従って、内部の異物を消化するためにエンドソームと融合するが、その内部が酸性(〜pH5.5)であるため、膜融合がおきるとM2タンパク質が活性化してウイルス粒子内部に水素イオンが流れ込む。するとウイルス粒子内部が酸性化して、それまで構造を保っていたM1タンパク質(実質的な殻に当たる)が、もはや構造を保てなくなり、また同時にウイルス核酸複合体に結合していたM1タンパク質が外れて脱殻を起こす。抗インフルエンザ薬であるアマンタジンは、このM2タンパク質のイオンチャネル作用を阻害することで、ウイルスの増殖を抑制する。
インフルエンザウイルス - Wikipedia
とはいえ、インフルエンザウイルスはものすごい変異速度が早いだけあって、既にアマンタジンに耐性ができているウイルスが出現しているようだ。自分がかかってるウイルスがアマンタジン耐性だったらなんのために薬を飲んでるのかわかんなくて悲しいね。
米国では 2005/06年のインフルエンザシーズン当初にインフルエンザA/H3N2型において 92.3%の率で耐性をもつウィルスが検出され、 アメリカ疾病予防管理センターは抗インフルエンザ薬として使用しないよう緊急勧告を出した。 日本においては引き続き使用されているが、 結果として臨床においても 2003/04 シーズン、2004/05 シーズン、2005/06 シーズンを比較すると 有意に解熱時間、発熱時間が年々延長していることが明らかになっている。(日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の調査)