柿の種中毒治療日記

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確率的発想法 数学を日常に生かす

小島寛之先生の確率の入門本を読了。日本を出る際にこの人の本をまとめてAmazonで買ったものの、まだ読んでなかったのだ。入門書なので数式はほとんど出てこないのだけれども、面白い話がいっぱいだ。数式が出て来た方がもうちょっと一歩一歩確認しながら考えられる気もするけれどね。確率と言っても大学受験の時に出てくるような数え上げの話はほとんど出てこない。大きく二章立てになっていて、第一章は基礎編。フィッシャーの統計的推定やベイズ逆確率といった大学の教養レベルで出てくる話がとても分かりやすく解説されている。期待値からは説明できない人間の行動を説明する期待効用基準の話も分かりやすい。
第二章は応用編。こっちはホントに入門書なのかという内容も数多く紹介されていて、これまた面白い。確率と言えば足して1になるのが当たり前だと思っていたけれど、足しても1以下になってしまう不確実性回避の理論。これはビジネスなどの意思決定の局面で出てくるシチュエーションをうまく説明できる面白い理論だ。そしてさらに面白いのが『コモン・ナレッジと集団的不可知性』の話。参加者が直接的に情報交換しない株式市場などで、お互いに知らなかった内容がお互いの行動によってどんどんと『コモン・ナレッジ』となっていきある時点で大暴落やバブルを生んでしまうという過程はとても面白い。さらには昨今一部で話題のミニマム・インカムに対する『論理的選考』という枠組を使ったアプローチはかなり目から鱗。ミルトン・フリードマン流の『選択の自由&自己責任』というネオリベラリズムに対する面白い批判。正直第二章は少し消化不良なのでもう一度読みなおそう。

確率的発想法~数学を日常に活かす

確率的発想法~数学を日常に活かす