柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul→Yokohama

力量を見極める

昨日1時までかかって準備した中国のトップのマネージャーに対する決算Certificationのレビューが終わった。要点を押さえ、予期される質問に対しても入念に準備して行った事もあってとてもうまくいったと思う。前回は大失敗に終わって正直落ち込んだのだけれども、これで失地回復となればよい。
今回の準備を通じてひとつ学ぶ事があった。当たり前の事だけれども、部下の力量と仕事量を見極めた上でクリアできるレベルの適切なチャレンジを与えるのがいかに大切かという事だ。ぼくは今3カ国の担当なのだけれども、最大・最重要な国のトップマネージャに対する同じようなレビューはもっと時間に余裕があるため、アカウンタント一人一人が準備に時間を割く余裕がかなりある。だからそちらの国の場合ぼくは事前のレビューを繰り返し、当日会議中に多少のフォローをするにとどめて、全面的に入社4、5年目のアカウンタントにプレゼンテーションや質疑応答を任せている。前回の中国の四半期決算のレビューでは、こちら担当の部下たちに同じチャンスを与えないのはおかしかろうと単純に考え、彼らに任せた。ところが準備段階での監督と指導に十分な時間を割けなかった事もあってあまり良い出来ではなかったのだ。もう一方の国を担当する部下たちは前任者に既に鍛え上げられているという単純な事実も見落としていた。

今回のレビューは失地回復の最初で最後のチャンス。自分がやればきっちりできる自信は当然あるのだけれども、誰にしゃべらせるかは昨日の夕方まで迷っていた。もう一度やらせるべきか、それとも今回はぼくがやるべきか。できればせっかく頑張っている彼らに任せたい。同時に、二度同じ失敗をさせては元も子もない。ぎりぎりまで粘ったのだけれども、なかなか数字の分析作業にメドがつかず、プレゼンテーションの練習に時間を割くことも難しそうだ。当日午前中の台湾/香港のマネージャーとの事前レビューの出来からしても、ここから始めて翌日までにプレゼンテーションを満足いくレベルにするのも難しそうである。そんなわけで夕方6時にプレゼンテーションはぼくがやる事に決めた。『私達がせっかくやったのになぜ最後のプレゼンテーションの機会を奪うのか』という反応を予想していたのだけれども、実際には二人のアカウンタントは小躍りして喜んでいた。それもどうかなと思わなくはないけれど、実際のところきっとスゴいプレッシャーだったのだろう。

というわけで、昨晩は10時過ぎで彼らには仕事を切り上げさせ、その後一人プレゼンテーションの準備にしっかり時間を充てて、本番の会議はぼくが捌くことにした。こういう風に説明をし、こういう風に質問をさばくんだという実地での例を見せられた事は彼ら自身にプレゼンテーションをやらせて自信を失わせるよりも学びが多かったようだ。確かに自分の事を考えてみても、ぼくもやっぱり上司のこういう場でのしゃべりかたを見て学んで来たのだよな。
彼らに中途半端にプレゼンテーションの準備に時間を割かせるのではなく、分析に100%時間を割かせたことも奏効したと思う。我々が細かいところまでしっかりと財務諸表の中身を理解している事に対してもお褒めの言葉をもらったのだけど、それは週末返上で頑張ってくれた彼らのおかげである。準備の段階では色々厳しい質問もしたけれども、それも含めてとても良い刺激になったと部下の一人が言ってくれた。こういうのが一番嬉しい。力量を見極めた上でステップバイステップで一つずつ難しい事にチャレンジさせて行くことが実際のところ一番良いのだね。もちろん今後もこれを続けるつもりはない。これをぼくではなく、彼らがいかに出来るようにガイドして行けるか、それもまた大きな課題だ。

会議後、台湾から電話で参加していた他のマネージャーから部下にメッセージがきたんだといってこういうメールを転送してくれた。これもまた嬉しい。

Tanya [1:34 PM]:
Beth, thanks for yesterday
Beth [1:34 PM]:
thanks also... the certification went smoothly... i think it was because Y-san was leading
Tanya [1:35 PM]:
yeap, tell him we love him. he is very wonderful person, so reliable. i can't image if without him.
*1

この後のメッセージは"is he married?"だったからそこは削除して転送した、と笑いながら言っていた。

*1:名前は全て仮名