オーパーツという言葉がある。
オーパーツ(Out Of Place ARTifactS、場違いな加工品)とは、考古学上その成立や製造法などが不明とされたり、当時の文明の加工技術や知見では製造が困難であるか、あるいは不可能と考えられる、主に出土品を指す用語である。ただし、正式な考古学用語ではなく、そういった出土品の存在を強調して考古学上の通説に疑義を唱える意図で主に使われる。
なぜそのようなものが存在するのか、またどのようにして作ったのか、といったことが未だに解明されていない、と主張されるのが常であり、未知の(現代科学の水準を超えるような)超古代文明の存在や古代宇宙飛行士説の根拠とされることがしばしばある。実際には全てが説明不可能なものではなく、その時代の技術で作成可能なものも多くある。また、近代の発明でその頃には存在しなかったとされている技術が、一度見い出されて後に失われていた技術(ロストテクノロジー)であるということもあり得る。いわゆる超古代文明や宇宙文明に依らずとも、情報の散逸によって文明が著しく後退した時代もあるため、一度失われた後に再発見された技術や知識も少なくない事に留意すべきだと考えられる。
(Wikipedia)
コスタリカの石球というのは誤差がほとんどない完全なる真の球だという。真の球体はなんてものが地球上に存在するのか。その手の話をきいた瞬間眉唾・トンデモの類だと疑ってかかるのが常のぼくなのだけれども、せっかくコスタリカにまで来ているのだからフライトまでの時間に国立博物館に行ってきた。期待に胸が膨らみます。
入場料$7を払って中に入ると、早速ひとつの大きな石が目に飛び込んできた。何の前触れもなく、いきなり真打か!
これがそのひとつ。さあ、どのくらい真の球形なのかわくわくする。
どうみても真の球には程遠い。。。後ろに工事中の廃材が山ほど詰まれているのはまあ愛嬌としても、そもそも形がゆがんでいるじゃない。そうだ、角度を変えてみればいいに違いない。*1と四方をぐるりと回ってみたのだけれど、どうみてもやはり真の球ではない。
まあ最初からそこまで期待してないし、そんなもんだよねと肩を落とすでもなく国立博物館を見学。コスタリカの先史時代の石器にはじまり、農耕が始まってからの土器や埋葬の様子、ヒスイを加工した宝石や金細工、いろいろ素敵な遺物に触れて満足。再び中庭に出てみるとそこにも石球が。これもじろじろ見てみたのだけれども、やはり真球とは残念ながら言えないようだ。ただおもしろいのは配置の規則性。こういう石が見つかる場合、配置に一定の規則性があるらしい。宇宙人がどうのこうのという話ではないにしても、なんらかの信仰や意味合いを持っていたのかもしれない。
と、ふたたび館内へ。ちなみにこの館内、フラッシュは禁止だけれどもフラッシュを使わない限り写真は取り放題である。いろいろ面白いものの写真を撮っていると目の前に再び大きな物体が現れた。こ、これは。。。
これは確かに丸い。上から見ても、下からはいつくばるようにしてみても、四方をぐるりと回ってみても、どこをどう回っても確かにゆがみのない球に見える。
「いやー、これぞオーパーツ、人間に作れるはずのない真の球だ!」なんてことにはならないところが現実。実際にはこれは加工可能なのだそうだ。館内にあるほかの球も真の球体といえるものはなく、たまたまものすごい精度で作りあげることができた石、というほうが適切だろう。人間に作れるはずがないなんて大げさなことじゃないとしても、それでもやっぱりこの球は美しい。何の目的で、どれくらいの期間をかけて誰がこの美しい球体を作り出したのか、そういうことを考えるだけでも面白い。
(おまけ)これは石球ではないけれど、やはり石に細工をしたものたち。なんだかすごくプリミティブな魅力にあふれている。これを作った人たちと石球を作った人たちは同じなのだろうか。ロマンが広がるなあ。
長くなったので、土器巡りと黄金細工巡りはまた別で。
コスタリカ土器探訪 - 柿の種中毒治療日記
黄金郷を求めて - 柿の種中毒治療日記
*1:んなわけない。真の球ならどこから見たって真の球形でなければならないけどね