柿の種中毒治療日記

Kobe→Manila→Guangzhou & Hong Kong→Seoul

Diversityについて久々に考えた

今日は昼前から午後5時過ぎまでチームの皆60人余りでオフサイトミーティング。テーマは二つ。ひとつはLife map。もうひとつはStrategy development。どちらもとても有意義だったのだけれども、とくに個人的にはLife mapが有用だった。
Life mapというのはHuman Resource系のプログラムの一つ。自分のこれまでの半生を時系列を追って大きな模造紙に書き出し、一人当たり10分-20分余りかけて紹介しあうというものだ。それだけ聞くと就職活動でやる『自己分析』と似ているけれども、目的が異なる。就職・採用活動と違って自分を売り込んだり・他人をジャッジしたりするのは全くもって目的ではない。もちろん事前の準備段階で自分と向き合うことになるのだけれど、それはあくまで準備。一人一人事前に作って来たマップを、密に働くワークグループ内で共有する。聞く側は枝葉ではなくsubstanceの部分に関わる質問をすることが求められる。それを通じてお互いの理解を深めることが目的だ。
話したくないことは話さなくて良いというルールのが基本ルール。同時にこの場で話されたことは外では話さないという約束に基づいているから、みんな格好をつけずに結構踏み込んだ体験をシェアしあう。ポジティブなことだけでなく、苦い経験・辛い経験もシェアする。人の話に笑いや否定・ジャッジメントを下すことは一切禁止。他の人の経験をオープンに・真剣に聴くことが求められるから正直疲れるのだけれども、それだけ真剣に人の人生や価値観に向き合う経験というのはとても貴重だ。半生を追って個々人を作って来た環境や出来事を知ることで、いまのそれぞれの行動・思考の裏側にあるものが理解しあえる。ある局面でなぜこの人はこういう行動をする傾向にあるのかということがその背後にあるものを通じて理解できる。
そして多様性ということをとてもリアルなものとして感じる。当たり前の話だけれど、一人一人の環境や体験はものすごくバライエティに富んでいて、同じ経験なんて何一つない。特に今は海外で働いているから、日本で自分が経験してきたお互いに想像の範囲内の(もしくはそうだと幻想を抱いていた)『普通』というものが存在しないことに改めて気付かされる。それは経済的な苦境だったり、信じられないような身内の不幸だったり、いろいろだ。職場で朗らかにしている普段の姿からは想像できないけれどもね。こういう話に真剣に耳を傾けることで、一人一人が自分を大切に思うのと同じように、他人を大切なものだと思える。なかなか普段の職場では得ることの出来ない良い経験だった。共通の目的に向かって違う個性を生かし、お互いのことを思いやり助け合う、そんなチームになっていくきっかけとなることを切に願う。
フィリピンではprivateなところまで踏み込んで理解しなければ信頼関係を築けたとはいえないというような価値観があるからこういうエクササイズが有効だ。きっとこれは日本の組織でだって同じく有用なのだと思う。ただ、多様性に対する受容度にはまだまだ差があるのだろう。『常識』だったりステレオタイプだったり、そういう幻想を捨てて一人一人が違う人間であることに向き合い、職場での上下関係にとらわれずお互いの話に耳を傾け、尊重しあうことから多様性を生かすということが始まるのだろうな。*1
蛇足ながら、5時半にミーティングを終えた後は緊急の用事のある人間を除いては職場には戻さず帰宅。半日真剣に話し合うにはかなりのエネルギーが必要だしね。理解を深めるという目的で飲みにいって何度聴いたか分からない自慢話を聴かされるよりも、お互いを理解することを明確な目的としたこういうプログラムを仕事の一環としてやる方が有効だと思うね。飲みにいくこと自体は嫌いではないけれど。

*1:Role & Responsibilityをガチガチに切り、契約関係で物事を捉えるヨーロッパ流だとどうなるか興味深いところであるけれど。