USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? V字回復をもたらしたヒットの法則 (角川書店単行本)
- 作者: 森岡毅
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2014/02/28
- メディア: Kindle版
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その立役者が書かれたV字回復ストーリー。これが、とても面白い。右肩下がりだったUSJに新風を吹き込み、消費者理解を中心に色々な施策を次々にうっていく。巨額の投資はできない財務状況にあって、アイディアと人を有効に活用するために知恵をひねり出す。その施策がどれもこれも面白く、読んでいるだけで、行きたくなってきた。
著者はいかに潜在的な顧客にリーチして、その人たちに足をUSJに向けてもらい、満足して再びリピーターとなってもらえるのかを考えるプロのマーケター。この本を書いた意図も、USJの認知度をさらに高めるための一環のパブリシティだったりして。ぼくは行ってもないのにまだ見ぬ『ハリーポッター』に心躍らせてしまったので、もしそれが目的だったら一人はその目論見にはまったことになる。いや、それとも隠れた目的は社内向けのメッセージだったりして、なんて裏読みしてみても楽しい。
強いマーケターは人々を幸せにするプロダクトやサービスを作ることができる。マーケター万歳、イノベーション万歳、とファイナンスを職をしながらにしていつもそう思うのである。イノベーションなしのマーケットでずるずる価格競争ばかりやっていても楽しくも何ともない。
「目的」ありき
ビジネスは本質的な目的を正しく見据えることが大切です。戦略や戦術は目的次第で自由自在であるべきと私は信じています
目的が正しいなら、方法が見つかっていなくても、やらなければならないことは自明だからです。目的自体を疑うようでは必死にアイデアを考える執念のパワーが出てきません。そのときも、深くすーっと行きを吸い込んで「必ずアイデアはある!」と自分に言い聞かせました
Ideationについて
価値を生み出すアイデアの切り口は、経験上ほとんどの場合は「消費者理解」の中に埋まっています
金をかけなくても、アイデアで感動は作り出せる
アイデアというのはそんなにやすいものではないのです
フレームワークで考えるべきポイントを明確にし、リアプライで世界中からアイデアを探し、自身やチームのストックで文脈の豊かな情報を活用したら、あとは考えつくまで考え抜くことです
意思決定について
戦略段階での意思決定をどれだけ早くできるのかを意識しています。不必要に早く決めないことは理論上は正しいのですが、実戦においては意思決定の早さは多くの場合で必要とされ、タイミングを逸すれば状況が不利に展開する場合がほとんどだからです
エクセキューションについて
歩いている一歩一歩が正しいんだ!と思えないと、自信を持ったよいエクセキューションを現場が作ることはできません。腹の底の弱気や心配は絶対に周囲に悟られてはならない、誰かが言いきらないといけない
実施段階での泥臭い戦術の詰め(エクセキューション)にどれだけ執着するかは、せっかくのアイデアを活かすためにとても大切なのです