最近少しさぼり気味なのだけれど、LiftというiPhone Appがなかなか良い。習慣化したい行動を選び、毎日その行動をしたらチェックを入れる。同じ行動を習慣化したい人たちが集まったSNS的な側面もあって、拍手をもらえたりコメントをもらえたり。カレンダーに緑のマークが積上って行くのは気持ちいい。
これって小学校の時に、壁に方眼紙がはってあって何かするごとにシールを貼って行ったのと原理としては同じだ。良いことが積上って行ったら嬉しいし、悪いことが積上って行ったら恥ずかしい。まあ僕の場合は小学校低学年の時にクラスの忘れ物王ランキング表でダントツのトップだったという不名誉な記録をマークしたわけだけど。いや、トップはクラスメートのミヤハラくんでぼくは二番目だったっけな。とにかく群を抜いていて、二人だけのために紙が上に足されていた記憶がある。
というわけでスコアカードをつかって人を管理するというのはひとつの自然な考え方だと思う。重要な経営指標をスコアカードでトラッキングして行くことで、経営状況の健康度をはかり、かつ責任の所在を明確にすることができるから、大きな組織をコントロールするためには有効な手法の一つだろう。ぼくが働いている会社もバランスドスコアカードの信奉者で、なにかといえばスコアカードである。
ただこのスコアカード信仰には重大な落とし穴もある。そのひとつがオール・グリーン・シンドローム。スコアカードが緑なのか黄色なのかを人事考課に直結させるのはひとつの手法だけれども、スコアカードを緑にするためだけの短期的な行動や、そのためだけの無駄な仕事が山ほど生まれるリスクもある。最近いろいろな人と話をしていて、笑い話じゃないかと思えるような話もたくさん聞いた。Output measureは直接コントロール不可能なので、Input measureをコントロールするというのは概念的には正しいのだけれども、Input measureを緑にするための活動が必ずしもOutputにつながるとは限らない。むしろOutputを低下させる本末転倒な活動が水面下で起こってしまうこともある。特に中国はそれがすごい。フランス人の同僚と話していてでてきたのが『オール・グリーン・シンドローム』。*1
理想的にはスコアカードに頼らない、価値観や文化に基づく性善説に基づいたやりかたを模索したいところなのだけれどもそれは一日にしてならず。せめてむだなトラッキング項目を減らすか、人事考課の対象としてのトラッキング項目を最小にして、その他の項目を経営分析のみを目的とした間接指標とするということを組織のトップが明確にする必要があるよな。
- 作者: ロバートサイモンズ,Robert Simons,伊藤邦雄
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