柿の種中毒治療日記

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NHKスペシャル 「女と男」何が違う?なぜ違う?

昨日からNHKで面白い番組をやっている。女性と男性の違いを器質的な違いに還元して説明しようと言う試み。男女の間で脳や臓器の発達度合いや作用機序が微妙に違うことがわかってきているんだって。ただしこれは男女雇用機会均等法前のような『男は仕事/女は家事』的な言説をサポートするものではない。むしろ、男女の間に当然ある生物的な差さえも無視しようと言う行き過ぎた平等志向に釘を刺し、違いを生かしてアウトプットを最大にしようと言う次なるステップだ。
まずその前提として男女の得意な能力自体に差があることを科学的事実*1として理解すること、そしてそのことと『結果を出す力』には関係がないことを理解することが大切。例えば方向感覚は男の人の方が高いとよく言われる。それはただ単に男性の方が(統計的に)空間把握能力が高く、かつ地図には言語情報が乏しく空間把握能力がないと理解しにくいから。実は女性は一般的に言語能力が男性より高く、『何を目印にどちらに曲がって〜』というような言語情報を与えてテストをすると、女性の方が男性よりも目的地にたどりつく正答率が高いのだそうだ。つまり『目的地に着く』能力自体に差があるというよりも、そのために使える得意な能力に男女差があるということ。これは面白い。
この考え方に基づいてアメリカの一部では男子クラス・女子クラスをわけて別の教え方をする試みが始まっているそうな。男の子が物事を理解しやすいプロセスと、女の子のそれは違う。なのであえて別のクラスにして違う教え方をすることで、結果として全体の理解度を高めようというこころみだ。これはビジネスにも応用されている。たとえば"Conclusion First"というのは(アメリカ型の)ビジネスの世界のコミュニケーションの鉄則だけれども、実はそれは(アメリカ型)男性中心社会での鉄則に過ぎない。統計的/科学的には男女で受け入れられやすいコミュニケーション方法には性差がある。たとえば女性の方がプロセス重視で男性の方が結果重視だそうだ。これを生かして営業現場で顧客の性別に応じてコミュニケーションの方法を換えるということが実践され始めている。もちろん女性でも男性的コミュニケーションを叩き込まれている人も居るだろうから最終的には個人をしっかり見て判断しなければいけないけれども、一般的に差があるというのは考慮に値することだろう。
こうした違った強みをうまく活用すると、均一な集団よりも良い結果につながる。これは宇宙開発を想定した過酷な条件でのテストでも実証されていて、男性ばかりのチームや女性ばかりのチームより男女混合チームの方がよい結果を生むんだって。
女と男でやり方は違うけれどもどちらが良い悪いという問題ではない。差があることを受け入れた上でその差をどう有効に生かすか・異なる得意な能力を組み合わせて最上の結果を出す方法を考える。『Diversity』の強さを科学的なアプローチで示そうと言う面白い番組だった。

*1:『現時点ではかなり確からしい仮説』といったほうが科学的だろうか