今日は中国では大晦日である。明日が旧暦の正月だからね。だから、オフィスはがらっがらであった。朝9時にオフィスに行ったら、フロアには片手で数えられるくらいの人しかいない。4時過ぎには僕ひとり働いているだけ。家に帰って明日の飛行機のために荷造りを済ませ、先日の角川本セールで買った『アルゴリズムが世界を支配する』を読了。
- 作者: クリストファー・スタイナー
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: Kindle版
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この本、具体的なアルゴリズムやコードの話はでてこない。アルゴリズムによってどのように世界が変わって来たかというビジネス読み物であった。出てくる話はどれもエキサイティング。
- 株や債券の取引の半分以上はいまやアルゴリズムによる自動取引。地理的に異なる証券所での売買で生じるごく僅かな差異を見つけ出し、ミリ秒を競ってアービトラージで稼ぐ。そのためにシカゴとウォールストリートを最短で結ぶ光ファイバーを敷設し、より早くその情報を提供するサービスで大もうけ。
- アルゴリズムをもとにコンピューターに作曲をさせる。人間は言われるまではコンピュータで作曲されたなどとは思いもよらず、感動を与えることだってできる。ただし、コンピュータによる作曲と分かったとたん認知バイアスがかかるのか、『コンピュータに崇高な人間の精神など再現できない』などという反応も。
- 過去にヒットした曲のデータベースを参照することによって、ヒットするであろう曲を見つけだす。この技術は感性や経験に頼った音楽業界のスカウトの存在意義を危うくする。
- 医師の直感ではなく、データに基づいて患者の治療方法を決める医療システムの構築。しかも人間の医師と違って最新の知見は常に苦労もなくアップデートされていく。
- コールセンターに電話をかけて来た顧客を、その言葉遣いから分析・分類し、相性の良いタイプのオペレーターにつなぐことで顧客満足度を高め、かつ1コール当たりの時間を短縮する。
- 電話をかけて来た相手の声をマスター・データベースに電子的に記録し、過去の詐欺電話の声を保存したデータベースと照合し、その電話がソーシャルハッキングを試みる詐欺師であることを警告する。
- 大統領選のスピーチに利用する。異なる人々の心をつかむためにどのような言葉・フレーズは避けるべきかをデータをもとに弾き出す。日本の失言だらけの政治家も見習えばいいのに。
- アルゴリズムによって動くGoogleカーは、乗り込んでいる人間の助けを一切借りることなく、22万4千キロを無事故で走った。この実験の目的は排出ガスの削減、交通容量の倍増、そして交通事故による死者の半減。
一部の話は以前に読んだイアン・エアーズの『その数学が戦略を決める』とも重複しているけれど、知らなかったことがたくさんでてきて面白かった。自分が今やっている仕事でここまで自動化されたプロセスは無いけれど、ものすごいチャンスが眠っているのではなかろうか。というか、うかうかしていたら自動化の対象になってしまって失職なんてことにもなりかねん。ネタ帳にいろいろなアイディアをためていこう。
- 作者: イアン・エアーズ,山形浩生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/11/29
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