HH兄貴から借りて来た400mハードルの第一人者為末大さんの本にようやく取りかかって一気に読了。凄い、凄すぎる。身体能力はもちろんだけど、それを遥かに上回る「どうすれば速く走れるのか」と問い続け、それをストイックに実行していく姿勢がスゴイ。身体・思考能力どちらをとっても超一流だ。
世界で互角に戦っていくためには、自分の何が武器になるのか、どう走るのか、どういうプログラムでトレーニングをしていくのかといったことを全て自分で考えて実行していく、正に「論理的なエンターテイナー」。特に、『専任コーチ不在の理由』の項目がいい。
- 自分で考え、自分で決めたことを、自分の体で試していくのは、実に楽しい作業です。
- 遠回りすることだってありますが、どんな失敗をしても必ず自分レベルにまで原因を落とし込む作業を繰り返していくと、同じ過ちを犯さなくなるのです。原因と結果が自分の中で結びついて、改善策が大変クリアに見えてきます。
- 自分には何が足りないのか。それを解決するためには、何をすればいいのか。それを自分の脳で突き止めた上で行なうトレーニングは、上から降りて来たメニューをこなしている場合とは、効力が雲泥の差になるのです。
- コーチに身を委ねるのは、そのほうが心安らぐからではないでしょうか。コーチの指示に従っていれば、結果がどう出ても、二人で分かち合う事が出来るからです。けれども、私は、自分で考えるという最高に面白い作業を、もったいなくて人に渡したくないのです。
ビジネス書で説かれる教科書的な「戦略的思考」なんか全く比ではない説得力。結局のところ重要なのは思考のフレームワークそのものではなくって、どこまでとことん考え抜けるのか、そしてそれを実行に移せるのかということだということがひしひしと伝わってくる。
この本はHow to本ではないし、タレント本でもない。非常に読みやすく、そして中味が詰まってる。何度でも読み返したいと思えるものすごく良い本だ。
- 作者: 為末大
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/05
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 48回
- この商品を含むブログ (55件) を見る