柿の種中毒治療日記

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パン屋再襲撃

1986年初版のパン屋再襲撃がAudibleに入っていたので聴き終えた。

昔々読んだ記憶が呼び覚まされる。タイトルの「パン屋再襲撃」、「象の消滅」、「ファミリー・アフェア」、「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・
ヒットラーポーランド侵入・そして強風世界」、「双子と沈んだ大陸」、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」。

このあとで長編小説の元になったストーリーやモチーフもあり、これらの短編がその萌芽となったんだなと思いながら耳を傾けた。

まだまだ荒削りな文体や、ちょっと気取った言葉遣いなど、著者の村上春樹さん自身の若さを感じて興味深かった。自分の父親ぐらいの年齢なので、自分の父親の世代の人たちの青年時代の1980年代を追体験する気持ち。今からもう40年近く前の情景が古びた感じがしないのはその分自分が歳をとっただけなのかな。

柳楽優弥さんの朗読は必ずしも個人的には好みというわけではなかった。先日聞いた中井貴一さんや向井理さんのような、もっと抑揚を抑えた淡々とした朗読のほうが好みだな。でも聴いているうちに、村上さんの若い頃のカッコつけた雰囲気や少し軽めな感じなどの『若さ』が感じられて良い朗読でした。