タイトルに引かれて手に取る。原作は編集王の土田世紀ということで期待大。とはいえ、あの駄作バトルロワイヤルIIの監督という不安もあり。で、結論からいうと面白い。エンターテイメントという意味では嫌われ松子の方が遥かに上だけど、こっちのほうがストーリーとしては好き。窪塚演じるバランスを欠いた優等生医者の抱える苦悩がいい。性格的には相当問題があって好きになれそうにない男だけど。自分がどうにか彼女を助けるんだという気負い。と同時に自分の卑怯さ・狡さを、旧友ドンちゃん*1への攻撃性に転化して切れまくる弱さ。その弱さに苦しみながら次第にそんな自分と向き合っていく所*2。ドンちゃん役の演技もナイス。目がいい。途中月の絵を狂ったように描き続けるところがまたいい。ただ優しく微笑んでるんじゃなくて、激情を秘めてたというのが伝わってくる。
といっても、多々気になる点もあり。ヒロインの演技がいけてないのはまあともかく、最後のバックドラフトとか心臓移植後の子供がドンちゃんの特殊な技を再現してみせるところとか、ちょっと手垢がついた感じがしなくもないな。別にあの特殊技が受け継がれなくてもメッセージはきっちり伝わってくると思うんだけど。なんかかなり不満点もあるので、実は単に原作が珠玉の名作だっただけではという気もしてくる。
それにしても山本太郎はかなりいいな。メロリンQとか昔言ってた人だとは思えん。
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